おいらはシャーペン

一ノ瀬 夜月

意志

 

 おいらはシャーペン、唯のシャーペンさ。



 「今...はっ?唯のシャーペンが主人公なんて、話が続かないだろ!!」


 

 と思ったそこの貴方!大丈夫だから、読み進めて見て。





 さっきは唯のシャーペンと名乗ったけど、おいらと普通のシャーペンには、一つだけ、大きな違いがあるんだ。



 それはーーおいらの外見がとてつもなく、みすぼらしいってこと。



 新品の時は、あお色に光り輝き、ツルツルだった外見も...今では色落ちして、内部の構造が透けて見えてしまう程だ。



 でもこの見た目、おいらは案外、嫌いじゃないんだよな。


 

 


 「何で、ボロボロなのに、嫌じゃ無いのか?」だって?



 それを説明するには、おいらの持ち主について、知ってもらうのが手っ取り早いかな。



      ✴︎ ✴︎ ✴︎



 えぇ〜っと、まず初めに、おいらの持ち主の女の子は、所謂いわゆる、『受験生』ってやつなんだ。



 だから、ほぼ毎日、勉強をしているんだけど、その時には、鉛筆やシャーペンを使うだろ?



 彼女はこだわりが強いのか、三本あるシャーペンの中で、おいらばかりを使うんだ。



 最初は"何でだろう?"と思っていたんだけど、本人が言うには...





 「推しの好きな色を使うと、やる気が上がるのっ!」


 

 とのことらしい。まぁ、理由は何であれ、おいらを使ってくれるのは、嬉しいけどさ。





 

 でも...ねっ?


 

 使い古すと、色落ちしたり、汚れが目立ってくるものだから、おいらなんか捨てて、新たな相棒シャーペンを見つけたいって思うのが普通だろ?



  

 でも、どうやら彼女は違うらしい。昨日も、今日も、きっと...明日も。


 

 彼女はおいらを手に持ち、机に向かって勉強する。



 


 そんな彼女を見ていると、もうボロボロなおいらだけど、


   

   "未だ現役で働いてやるっ!"



 って思えてくるんだ。


 だから、君も頑張れ!『合格』に向けて、これから先も真っ直ぐにー


 

                 終わり



 





 




 





 




 

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おいらはシャーペン 一ノ瀬 夜月 @itinose-yozuki

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