最初で最後の、精一杯の嘘

ミステリー作品。
安楽椅子探偵もの。
同じシュウという名前をもつ二人、平川楸と桜田朱雨、どちらも人称が俺で書かれ、今の場面はどちらなのだろうと読み解いていく面白さがある。
すごいミステリーだと感服した。

謎が明かされると次の謎が出てくるので、解決しているようで深みにハマっていく作りに、どういうことなのだろうというモヤモヤ感が晴れない。
こういう作りが、作品を先へ先へと読ませて行ってくれる。

超記憶症候群は良いなと思う反面、嫌な記憶を人より多く鮮明に溜め込んでしまうデメリットがある。

物語の後、桜田朱雨はどうなるのだろう。
平川楸はマスコミに囲まれる苦しみを桜田家にさせたくないので、示談に応じ、示談書や彼の謝罪も受け入れ許し、寛大な処分を求め、告訴の取り下げになると考えられる。
取り下げられなくとも執行猶予等の判決が下るだろう。
ただ、マスコミが騒ぐかもしれない。