終わり

「……はぁ」

「……これで、終わるといいのですが」

「おっわるよぉ!! 終わる終わる!!!」

「うるさ」


 楽しげな声が上から聞こえて上を見ると白髪の男。俺を転移させた神だ。


「シルビア様!」

「はいシルビアです! たった今モンスターを消滅させたよぉ!!! なんで! こんなことになるのかな!?」

「知るか。シルビア、俺の願いを聞けるな???」


 シルビアはうるさい。感情全開。そんな感じ。

 

「いいよぉ! 何でも行ってご覧! 律くんはお気に入りだからね!!」

「そうか。俺を、俺達を向こうの世界に送ってほしい」

「いいのぉ?」

「いい。俺が望んでんだから送れこの馬鹿神」

「酷いなあ。ま、いいよ。送ったげる」


 指を鳴らしたら目の前に光の空間が現れた。

 

「入っていきなー」

「助かる」


 そう言ってからシルビアは消えた。うるさかった。

 俺達は見合って頷いて光の中に入る。

 光の中は暖かった。……そうだ。


「ティカ、伝えたいことがあったんだ」

「……はい」


 やっと二人きりになれた。ならやることは一つ。

 ティカの手を握って見つめる。


「ティカが好きだ。一緒にいてくれ」

「――はい。喜んで」


 ティカは頬を赤らめて笑ってくれた。それを見て俺も安心して、笑った。


 

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ランキング1位の攻略者、元異世界を救った救世主 蒼本栗谷 @aomoto_kuriya

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