第38話
【3日連続投稿】
GW昨日から4連休もらえたんで今日と明日も投稿します!
⭐︎とか♡付けてくれたらモチベーション上がるのでよければお願いします!
元魔王様の方も毎日投稿しているので、そちらも暇な時に見てもらえると嬉しいです!
南川先輩の宣言がスタートすると同時に皇真は矢筒の魔矢生成のスキルを発動する。
魔力を消費して矢筒の中に数本の矢を生み出す。
「野々原先輩、動かないんですか?」
生成した矢を弓に番ても野々原先輩は開始位置で構えたまま向かってこない。
「初手は譲ってやろうと思ってな。矢も準備したいだろう?」
「余裕ですね。探索者として鍛えている自信ですか?」
「まあ、そんなところか。」
どうやら戦闘経験の差を考慮して皇真に多少配慮してくれているらしい。
「それならお言葉通りに先手は貰っておきます。」
初撃で倒せるならそれが一番だ。
魔装して全力の一撃を放つ事にする。
「ほう、身体だけで無く弓と矢まで魔装するか。先程のスライムの時とは違って全力だな。」
「そう言う事です。」
全身や弓矢を魔装する事でそれぞれのSTRのステータスにMATのステータスも上乗せする。
現状出せる全力の一撃と言える。
「いきますよ、ピアスショット!」
皇真が弓に番た矢を放つ。
目にも止まらぬ速さで突き進む矢は、一直線に野々原先輩に向かう。
探索者となっている者でも簡単に対処出来るレベルでは無い。
しかし野々原先輩は眼前で矢を掴み取ってしまった。
「驚いたぜ、いきなりアーツか。それも相当な完成度だ。」
表情からも驚いているのが伝わってくる。
そして誉めてくれてはいるが軽々と攻撃を止められた皇真としてはあまり嬉しくない。
「手で掴むとかマジですか。絶望的なスタートですよ。」
「そうか?俺は楽しめそうでワクワクしてきたけどな!」
掴んでいる矢をバキッと折って皇真に向かってくる。
「まあ、距離を詰めてきますよね!」
弓術士にとって距離を詰められるのは困る。
特に弓のスキルの効果的にも距離は離れておきたい。
皇真も距離を取る様な動きをしつつ矢を次々と放っていく。
「はっはー!動きながらかなりの精度だな!おらっ!」
足を魔装して急に速度を上げた野々原先輩が拳を握り締めて殴り掛かってきた。
「あっぶな!?」
紙一重で避けた皇真が急いで距離を取る。
至近距離で感じたからこそとんでもない威力の攻撃だったのが分かる。
「良い反応速度だ。」
攻撃を避けられたのに嬉しそうな表情を浮かべている。
「風切り音してましたよ!?どんな攻撃力してるんですか!?」
「普通に魔装して殴ってるだけだ。まだスキルは使ってねえぞ。」
おそらくアーツですらないのだろう。
魔装はしているがこれが野々原先輩の通常攻撃なのだ。
「さすがにこれはステータスの暴力か。」
相手は自分と違っていつでもダンジョンに入れる探索者だ。
レベルも上げてステータスもかなり伸びている筈である。
お互いのステータスが開き過ぎていればそれだけ実力差を感じてしまう。
「おらおら、考え事してる暇なんてねえぞ!」
野々原先輩が皇真に迫って何度も凶悪な威力を秘めた拳を振るってくる。
「スキル無しでこの攻撃力に速度は反則過ぎる!」
「そんな文句言いながら全部避けてるじゃねえか。」
必死に回避しているので当たってはいないが恐ろしい風切り音が近くで何度も聞こえるので生きた心地がしない。
そんな皇真とは対照的に攻撃が当たっていない野々原先輩は終始楽しそうな表情を浮かべていた。
「これでも必死なんですよ!当たれば一発で終わりそうなんですから!」
現状のレベルでのVIT数は把握しているが、この攻撃力を前にすると明らかに数値不足だと感じてしまう。
それだけ野々原先輩のレベルが高いのだろう。
「こんなに何度も避けれる奴もそういねえ。気に入ったぜ皇真!」
「全然嬉しくないです!」
攻撃の激しさが加速していくばかりで褒められても全く嬉しくなかった。
「こんなもんじゃねえだろ、もっと実力上げてこいよ!」
皇真が回避ばかりで反撃に転じてこないが、それで手一杯だとは野々原先輩は思っていない様だ。
「あまり手札を見せたく無いのに。でも満足させる為お望み通りにしてやりますよ!ラピッドショット!」
バックステップして距離を作り、魔装による高速の動きを利用して三本の矢を連射する。
動きに全く無駄が無く、三本の矢は同時に放たれたのかと錯覚するくらい同じタイミングで飛んでくる。
「またアーツか!」
野々原先輩が全身を魔装して身体能力を向上させる。
そしてその場で向かってくる二本の矢を両手でそれぞれ掴み取り、最後の矢を足で上から踏み付けて止めた。
「えええ!?」
まさか殆ど同時に放っている矢を全て対処されるとは思わず、皇真は驚愕の表情を浮かべて声を出す。
ダンジョンでミノタウロスにも通用したアーツなのに初見で完全に防がれるとは、野々原先輩の実力は想像以上である。
「はっはー!想像以上だぜ!ここまで仕上げたアーツを二つも持ってるとはな!」
普通はアーツを多く持つ者程、一つ一つが中途半端な練度にしか至っていない。
まだ中学生の段階でここまで二つのアーツを磨き抜いているとはかなりの戦闘センスであると野々原先輩は感じていた。
「簡単に打ち破っておいてそんな事を言われても嬉しくないですよ!」
「ステータスに開きがあるからな。同じくらいならこうはいかないと思うぜ?」
ダンジョンに潜れる者と潜れない者。
ステータスに開きがあるのは当然であり、観戦している者達からすれば野々原先輩とこれだけ戦える皇真が異常であった。
「さて、皇真だけが手札を見せるのは不公平だよな!次は俺の番だ!」
「えっ!?全然遠慮したいんですけど!」
野々原先輩が自信満々に宣言した言葉を聞いて皇真は首と手をブンブンと横に振る。
今でもかなり厳しいのにこれ以上何かされてはたまったものでは無い。
「つれない事を言うなよ!俺のスキルも味わっていけ!」
「赤いエフェクト。」
野々原先輩の全身がキラキラと光る赤いエフェクトに包まれた。
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