第10話 現実世界・恋愛ジャンルでの、3作目の短編勝負……ついに……。



 この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは、ほぼほぼ関係ありませんので、まあ、あんまり深くは気にしないで下さい。


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 おれはブラウザのゴーフルクリームにブックマークしていた小説賞のサイトを開き、一次選考通過作品を確認していく。


 そして、応募した『いきなりの クラス転移で Toまどいを ~チートな僕と、パニクるあの子の、異世界ラブコメ~』をそこに発見した。


「やった……」


 ぐっと、おれは拳を握り込んだ。


 この公募は一次選考を通過すれば評価シートは確定なので、今の自分の力量を知ることができる。ただ、その作品における力、という限定的なものではある。


 それでも、おれにとっては数少ない、自分の力量を客観的に見る機会だ。


 それだけでなく、一次選考通過ということ、そのものも嬉しい。


 この1月はなんていい月なんだろう、と夜空を眺めて、にんまりと笑った。


 この時のおれのモチベーションは大きく膨らみ、高まっていた。






 一度、ランキングで日間2位となってしまうと、もう、どんどんと新たな意欲は湧いて出てくる。


 いつか、1位になってみたい。

 おれは、そういう気持ちに突き動かされていた。


 2月までは次の作品の構想と、『小説家になったろう』の考察を重ね、どうすれば1位を狙えるのかをとにかく考え続けた。


 そして、2022年2月2日の朝。

 短編『NTR幼馴染フォールインヘル ~あんなに好きだったあの子が気持ち悪い~』が月間現実世界〔恋愛〕ランキングBEST100にて第11位に入っていた。


 思い出す、1年前の悔しさ。『ボインの伝説』と同じ、ぎりぎり「入れない」ポジション。

 月間10位だと、パソコンでは、ジャンル別の表紙ランキング入りだ。その、境目。ぎりぎり、表紙に入れない、悲しみの順位。

 10位との差はおよそ200ポイント。どうにかなりそうで、どうにかならないのが、既に書き終え、追加で更新できない短編作品だ。


 あとは、運を天に任せるのみ。


 そして、二日後の2022年2月4日の朝。

 短編『NTR幼馴染フォールインヘル ~あんなに好きだったあの子が気持ち悪い~』が月間現実世界〔恋愛〕ランキングBEST100にて第9位に入り、ついに、『小説家になったろう』の表紙入りを実現させたのだ。


 渾身の……その瞬間のおれの全身全霊をかけた、作品だった。まあ、NTRなんだが……。

 人生も含めておれが今まで培ってきた全てを凝縮させた、作品だった。それがNTRなのは複雑なんだが……。


 憧れ続けた、表紙入り。『ボインの伝説』では果たせなかった夢。それが例えNTRだったとしても。


 こんなに嬉しいことはない……。


 おれの心は満たされつつあった。






 月間のジャンル別表紙に作品と名前があるうちに、と、おれは次の作品を投下した。


 またしても、NTR系統の短編作品『気の弱い元カレの未練旅断ち ~オレが前を向くには、あいつにぶちまけるしかない~』を2月7日に投稿したのだ。


 これは昨年末に旅行で行った富山の情景などでリアリティを持たせつつ、別れた彼女への未練を断ち切れない元カレが、元カノとの思い出を辿りながら未練を断つ、というものだった。


 これまでの『小説家になったろう』研究によって、ベストタイミングでの投稿はできたはず。


 狙ったのは昼。曜日は、土日の公開作品がポイントを落としてくるはずの月曜日。平日にランキングを駆けあがって、ワンチャン、あるはずだと信じて。


 投稿時点で200近いPVがあり、そのまま、『なったろう』表紙の短編新作で紹介されている間に、PVが伸びていく。

 夕方のランキング、日間26位と、そこそこのいいポジションに入る。そこからまた、PVが伸びていく。


 翌日の2月8日は、朝に日間9位。さらには、1日経った昼、なんと、日間5位でランキングまとめページに掲載される。

 夕方にはさらに上の日間3位へ! ランキング5位ブーストがかかっている!


 明けて2月9日の朝。

 1000ポイントを超えて日間2位に入った。そして、昼もまた、日間2位。ただし、朝よりも少し、ポイントは下がっている。


 ……やはり、1位は、難しいのか?


 この日、仕事は全く手につかず、何度も上司に声をかけられ……。


 そして、帰りの通勤電車の中でタブレットを起動させると――。


「っ……うぉ、やっ……た……」


 ――この朝と昼に1位だった作品がポイントを落としたことによって、短編『気の弱い元カレの未練旅断ち ~オレが前を向くには、あいつにぶちまけるしかない~』は、日間現実世界〔恋愛〕ランキング第1位に輝いたのだった。


 おれは、通勤電車の中で叫びそうになる自分を必死で抑え込んだのだった。











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 あとがき失礼いたします。


 作中にある、


『気の弱い元カレの未練旅断ち ~オレが前を向くには、あいつにぶちまけるしかない~』


 につきましては、検索しても見つからないと思います。


 ただし、これとよく似た名前の、


『情けない元カレの未練旅断ち ~オレが前を向いて先へと進むために、溜め込んで澱んだ想いをぶつけるのは許されるのだろうか?~』


 につきましては、

https://kakuyomu.jp/works/16817139558134668366

 へとアクセスすれば、読むことが可能です。


 作品名はとてもよく似ていますが、この物語はフィクションですのでご注意下さい。





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