第9話 練りに練ったNTR短編で挑む現実世界恋愛ジャンル。初のランキングトップ5で、その効果に震撼する!



 この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは、ほぼほぼ関係ありませんので、まあ、あんまり深くは気にしないで下さい。


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 書くことに燃え尽きても、読むことはできる。『ボインの伝説』で燃え尽きてから学んだことでもある。


 再び読専状態となったおれは、『小説家になったろう』のランキングに入っている作品を読み漁った。異世界恋愛、現実世界恋愛、ヒューマンドラマ、異世界転生転移恋愛など、いくつかのジャンルをひたすら、読んでいく。


 気分転換も必要だろうと、年末の休暇で旅行を思い立った。去年はひたすら『ボインの伝説』を書いていたのだから、180度方向転換だ。


 目指したのは富山。

 なんとなく、路面電車に乗りたかったし、ご当地ラーメンが食べたかった。


 移動中の新幹線では、『小説家になったろう』のネット小説をひたすら読み、富山での旅行中は、いろいろなところを歩きながら、「あ、これ、小説に活かせるかもしれない……」などと考える。


 ホテルの温泉にのんびりと浸かって、はあぁぁぁ~っ、と長く息を吐き出す。


 世間はコロナでずいぶんと窮屈な状態だった。


 旅行を楽しみながらも、おれが考えるのは小説のこと。


「『なったろう』では、「ざまあ」が人気、なんだよな……」


 他にも、「もう遅い」とか、いろいろとあるが、基本は、勧善懲悪的な、何か。主人公に対する悪役がいて、それが、ざまあ、される。


「ファンタジーなら「追放-ざまあ」、異世界恋愛なら「婚約破棄-ざまあ」で、現実世界恋愛だと……」


 そうして、おれは。


 ついに、「NTR-ざまあ」の世界に到達したのだった。


 それは、そこに辿り着くことは、これまでのおれの人生経験によって導かれた必然だったのかも、しれない……。






 その世界に。「NTR-ざまあ」の世界に到達してしまったおれは、ひたすら構想を練った。


 基本的に失恋系の物語には強く共感できる。おれにはそういう人生経験しかないせいだろう。

 だが、いくつもの「NTR-ざまあ」を読んでいくうちに、なんとなく、自分の中では「惜しい」感じがするのだ。そこにこだわりたかった。


 やはり、二人の関係は幼馴染、裏切るのは彼女、主人公は、彼。ただ、ひたすら復讐をするというのは、現実的……リアリティがなさすぎた。

 それでも、復讐はしたいのだが、ここが難しい。復讐の多くのパターンは犯罪行為だ。

 浮気女が自殺するタイプの話もあるが、それも、どうなんだろうか。


 おれとしても浮気女は、やはり苦しんでほしいのだけれど、そこが「NTR-ざまあ」からリアリティを失わせているように感じたのだ。


 そうして考え出したのが、ネットリテラシーの低さによる、どこかの誰かの復讐代行。

 主人公は自分で復讐するのではなく、ちょっとしたネットでのつぶやきで……その結果として浮気女が追い詰められていくバタフライエフェクト。

 全てが現実的なリアリティがなくてもいい。どこかにリアルにありそうな何かを詰め込む。


 ただの「NTR-ざまあ」は書きたくなかった。そんな、ちっぽけなプライドと、こだわり。


 それでいて、読後感を少しでもマシに……そう。もう一人の幼馴染の存在……。


 そうして、全神経を集中して書き上げた短編『NTR幼馴染フォールインヘル ~あんなに好きだったあの子が気持ち悪い~』が、完成した。






 何度も読み直して推敲を重ね、年越しを済ませて、準備完了。

 去年、『ボインの伝説』での熱い戦いからおよそ1年。


 2022年1月8日の夜23時1分に、渾身の1作をおれは現実世界恋愛へと投稿した。NTRものは、書くのに精神がガリゴリと削られるのだ。よく、脳が破壊されるという言葉が使われるのだが、読むだけでなく、書く方も疲弊する。


 投稿初日は360アクセスと、多くも、少なくもないアクセス数だった。


 およそ1日。短編『NTR幼馴染フォールインヘル ~あんなに好きだったあの子が気持ち悪い~』は、1月9日の夕方の日間現実世界〔恋愛〕ランキングBEST100にて第5位に入っていた。


 夢ではないか、そう思った。


 1年前に何度も挑み、そうして破れた、6位の壁。それを乗り越えての5位。パソコンからだと、ランキングの5位以上は、『小説家になったろう』のランキングまとめページに掲載される。


 ぶるり、と。

 全身が、震えた。


 ただ、この作品はそこで終わらなかった。『ボインの伝説』以来のレビューも頂き、PVを伸ばして、ポイントもどんどん増やしていく。


 1月9日は10,571アクセス、1月10日は19,085アクセスだ。ランキングまとめページに入るとアクセス数のケタが違う。


 1月10日の朝のランキングでは第2位に入った。この時の1位は書籍化作家さんで、日間なのにポイントは3000オーバーという現実世界恋愛なら最高峰の連載作品。おれの短編の2位とは1600ポイント差もあったのだ。


 しかし、その日の夕方には、なんと、1位との差を300ポイントにまで縮める快進撃。


 残念ながらそこから1位になることはなく、最高日間2位。そして、週間でも4位と、こちらもランキングページ入り。『ボインの伝説』で達成できなかったことに手が届き、力が湧いてくる。


 そんな時に、友人から、応募していた小説賞の発表があったと連絡が入った――。











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 あとがき失礼いたします。


 作中にある、


『NTR幼馴染フォールインヘル ~あんなに好きだったあの子が気持ち悪い~』


 につきましては、検索しても見つからないと思います。


 ただし、これとよく似た名前の、


『寝取られ幼馴染の地獄堕ち ~あんなに好きだと思っていた相手が、今では気持ち悪くて見たくもないと思うオレは歪んでいるのだろうか?~』


 につきましては、

https://kakuyomu.jp/works/16816927860964195909

 へとアクセスすれば、読むことが可能です。


 作品名はとてもよく似ていますが、この物語はフィクションですのでご注意下さい。






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