【完結】俺の家に押しかけて来た離婚後の妹が可愛くて、手を出しちゃいました!

あかせ

第1話 無防備の妹

 ゴールデンウィーク初日の夜。俺は1Rの自宅で菓子をつまみながら、アニメを観ているところだ。社会人1年目初の連休だから、ぶっ通しで観れるぜ!



 ……アニメ鑑賞に集中し、菓子をつまむ手が疎かになっている時に自宅の呼び鈴が鳴る。こんな時間に誰だよ? 良いところだったのに…。


夜遅くの訪問販売の可能性があるから、極力音を立てないようにしよう。そうすれば居留守が使えるからな。俺はアニメを一時停止させ、玄関に向かう。


玄関に着いた後、ドアスコープで訪問客を確認する。…あれは妹の香澄かすみじゃないか! 怪しい人じゃないと分かったので、すぐ扉を開ける。


「お前、急にどうしたんだよ?」

当然、来るという連絡は来ていない。


彼女は体格に合わない大きなリュックを背負っていて、何やらビニール袋を持っている。


「ここで話したら近所迷惑になるでしょ? 中に入れて」


「ああ…」

香澄の言い分は正しいし、家に上げる。



 「悪いが、部屋は片付けてないぞ」

見られて困る物がないがな。


「いいよいいよ」

香澄は持っているビニール袋を、部屋にある折り畳み机の上に置いてから腰かける。


リュックはすぐそばに置いた。置く時の音を察するに、結構入ってるな。


「その袋は何だ?」

彼女が先に座ったので、向かい合うように座る。


「お酒が入ってるの。今日卓也と離婚して家を追い出されたんだ~。最低限の荷物をこのリュックに詰め込んで、他の物は卓也に任せたよ」


「そうか…」



 香澄と顔を合わせたのは、今年の正月に実家で会って以来だ。その時に「そろそろ離婚するかも?」という話を聴いたから、特に驚くことはない。


香澄は俺より1歳下の21になる。高卒で実家を出て働き出し、同い年の卓也君と職場結婚した。結婚生活は1年ほどで幕を閉じたか…。


「兄さん、アニメ見てたんだ。邪魔してゴメンね」


テレビには、一時停止中のアニメが映っている。


「気にするな」

俺はアニメを停止させ、テレビの電源を切る。


アニメは好きな趣味だが、香澄以上にはなりはしない。俺は…、昔からヤバいレベルのシスコンなのだ。思わず手を出したくなるぐらいに…。


彼女にバレないよう平然と振舞ってきたが、どう思われているだろうか?


「そんな事より、何の用だ?」

気になって気になって仕方がない。


「離婚の愚痴、聴いてもらおうと思って」


「何で俺? 母さんに聴いてもらえよ」

俺が観る限り、2人の仲は悪くないはずだが…。


「実家より、兄さんの家のほうが近いし」


俺は都合良く扱われるのか。嫌われてないだけマシかもしれない。


「兄さんの会社は、ゴールデンウィークはどうなの?」


「休みだ。お前のところは?」


「同じ。だから遠慮なく話しちゃうけど良いよね?」


卓也君と結婚しても、今の仕事は続けていると聴いた。離婚後も顔を合わせることになると思うが、それは良いのか…?



 香澄は缶ビールを飲みながら卓也君の愚痴を言い続ける。家事を全然してくれないとか、前より優しくなくなったとか…。彼女のそばにいられるのは嬉しいが、退屈な話だ。


「…あたし、眠くなってきた」

話の区切りがついた後、香澄はそう言って机に伏せて寝始める。


勝手に始めて勝手に終わるのかよ…。それでも可愛いんだがな。



 机越しであっても、香澄の寝息が聞こえてくる。見るからに重そうなリュックを背負ってここまで来たんだ。疲れるのは当然だろう。


…狭い1Rに2人きりの状況が、俺の抑えていた欲望を膨らませる。正直なところ、我慢できる自信がない。


実家にいた時は父さんと母さんの目があったが、今はない。当の香澄は寝ているし、バレないように手を出してしまえば…。


そう考えた俺は音を立てずに移動し、彼女の横に座り直す。

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