ナイトメア×レイン

@YUKINOpiza

プロローグ・塔から人が落ちてきた!



「…………」



 目が覚める。



「……ここは、どこだ……?」


 身体を起こして座り、辺りを見回す。草、草、草。見渡す限り草原が広がっている。


「……あれ、俺何してたんだっけ…?」


 何故こんなところで寝ていたのか、記憶が無い。


「誰もいないのか……?」


 気温は……暑くはない。日差しは強いが、辛くない。夢の中にいるようだ。


「それにしても……不思議な場所だな」


 右から左へとゆっくり流れていく雲を眺めながら一人呟く。


「ふぁぁ……」


 心地がいい。あくびが出る。もう一度この空気を感じながら眠りたい。



 と、その時。



「…………ッ!?」



 物凄い轟音と共に風圧が背中にのしかかる。



「なんだよ……!」


 反射的に後ろを振り向くと……




 ガ……ガガ……




「………………は……」



 高層ビル程の巨大な黒い獣が俺を睨みつけていた。


「…………お……ふ」


 あまりの突然の出来事に言葉を失う。さっきまでいなかったのに……いつの間にいたんだ。てかさっきの風圧はこいつの鼻息か────




 ガブァ。




 今の音が、俺が食われた時に発したモノだと認識するのは、もう少し後の話だ。








       ───ミッドナイト×レイン───








「おっしゃあぁぁぁ!!!今日は久しぶりにウチに依頼の仕事じゃあああああ!」

「わああああ!リエド、仕事来たの!?」

「おう!そうだそうだ!稼ぎ時だぜぇイェリー!」

「ひゃっほぉぉぉぉぉ!最高!!!」

「うっせぇなァ頭かち割るぞゴラァ!」

「わーラックバーンが怒ったぁぁ!」

「怒ってねーわクソがァァ!」

「ギャー!頭割られる!逃げろ!」

「待てやイェリーゴラァ!」


「へー、そうか、仕事か」

「……ベリー・メズラシ」

「リエド、ルーノ達に依頼内容の説明をお願いします」

「おう勿論だ!ルーノ!みんな席に着けぇぇ!今日の仕事は……こちらッ!」




 数時間後──




「……って、テンション上がったのに……塔の拭き掃除ってなんなのよぉぉぉ」

「イェリー、手が止まっています。それでは効率が30%落ちてしまいます」

「だぁー!ルーノはこんな地味作業嫌じゃないの!?狩りの方が楽しいじゃん!」

「確かにルーノも狩りの方が好みではあります。ですが、安定した収入のためにもこの仕事は引き受けねばなりません」

「それは……分かってるんだけどぉ……あぁー、なんか面白いこと起きないかなぁ………あ、光った」




 フォン……フォン……と、音を立てながら塔の頂上が点滅している。




「……んだ?」

「光ってるな。誰か戻ってきたのか」

「……まー誰でもいいけどよ。おらイトミズそこのスポンジ寄越せ」

「……アイ・アム・オレ。承知」

「しっかし誰が落ちてくるんだろうな?この時間帯に珍しいな」




 そして、しばらくの点滅の後、ポンっと栓を抜いたような音を立てて、何かが排出された。




「帰ってきたわね……って。えぇぇ!?きゃああああ!」

「おー、あれは……あぁ!?裸だ!裸体だ!ヌードだぁ!」

「……メンズ・スッポン・ポン。需要無し」

「棒を確認しました。男性のようなのでルーノは静かに目を逸らすことにします」

「おい落ちんぞアイツ!!!ヒーテ拾え!」

「……仕方ないな」







「……う……ん」



 目が覚める。



「あれ……?」


 身体を起こす。ここは…ちょっと暗いな。建物の中か?さっきの草原は……でかい獣は……?やはり夢だったのか…?



「おはよう、少年」



「え……」


 声のする方へ顔を向けると、椅子に座っている優しそうなお兄さんと目が合った。


「あ、はい」



 ……鉄格子越しに。



「俺、捕まってるんすか?」

「ああ」

「……なんでですか?」

「覚えていないのか?」

「……えっ?」


 何をやらかしたのかと、俺は腕を組んで記憶を遡る……と、何か違和感に気づく。


「あれ、この服……俺こんなの着てたっけ?」

「そうだ。君の服では無い。君は素っ裸の状態で見つかったんだ」

「……は?」


 素っ裸……だと?


「いやいやそんな訳……俺はちゃんと服着てましたよ。ただ黒くてでかい猿みたいなやつに襲われた時に破れて消えたんだと思うんです」

「そんなはずはない。服を着ていればテレポートされた時もちゃんと服を着た状態で帰ってくるはずだ」

「テレポート……?」


 何を言ってるんだ……?この人は。


「素っ裸の証拠も押さえてる。ほら」

「ぶー!?」


 と、ホログラム的な何かで俺の目の前に大きな画像が出現する。そこには素っ裸の俺が映し出されていた。


「ほら、ズーム。ここを見てみろ。しっかり裸だろ」

「だぁーそんなとこ拡大しなくてもいいでしょが!!!」

「いいやダメだ。加工していると思われるのは困る。しっかり自分の目で見るんだ!(ニヤニヤ)」

「てめぇワザとやってるだろ!!!」


 このお兄さん爽やかな顔してゲスいことしやがる!うぜぇ!




「こらぁぁぁリエド!やめなさーい!!!」




「ふがぁぁぁ!?」


 と、突如バコーンと凄い音と共に爽やかお兄さんが横に吹っ飛んでいった。


「おお」


 どうやら今目の前にいる女の人が吹っ飛ばしたようだ。


「このバカ!ここにはレディーもいるってのに変態!」

「イェリーがレディーとか……似合わね──」

「黙れこのバカリエド!」

「ぎゃああああああ!」



「……要するに、あなたは公然わいせつの罪で拘束されているわけです」

「あ、うす」

「初めまして、ルーノです」

「あ、ども」


 見えないところで暴れている2人をよそに、俺はルーノさんと会話を続ける。


「ところで……あなたはどなたですか?あなたの身分を特定出来るものがなくてルーノは困っています」

「あー……そうですね。裸だったんすよね」


 ……やはり、俺が裸で気を失っていたのは事実みたいだな。腑に落ちないけど、認めるしかないのか。


「名前は……あれ?」



 と、ここで重大なことに気がつく。



「あれ……?俺、誰だ?」




 名前が……思い出せない。




「……年齢はどうですか?」

「………17、いや、18?あれ20超えてたっけ?」

「……何区出身ですか?」

「…………」



 どうしちまったんだ、俺は。



「………どうやら記憶を失っているみたいですね」

「……みたいね。どうするの?この人」

「ルーノには決定権がありません。今日はこれくらいにして、上の指示を待ちましょう」

「ってわけで、またくるぜ!楽しみにしとけよ!」



「…………」



 そうして、謎の3人組は去っていった。



 俺は……なんだ?



 日本人であることは覚えてる。そして学生……だったはず。でも、そこから全く覚えていない。家族構成も、友達も、何もかも……


「早く夢なら覚めてくれよ……」


 記憶も服も失った。金もないし今は牢獄。しかもたった今前科持ちになった。未来が見えない。こんなのあんまりだ……!





 それから、3日が過ぎた。





「よぉーすっぽんぽん太郎!元気か!」

「ルーノが来ました。お久しぶりです」

「こんちは〜」



「……うす」


 騒がしい声で目が覚める。


「おぉ〜だいぶやつれたな」

「……風呂入りてぇっす」

「風呂ぉ?お前風呂好きなのか!だからこの前裸だったのか!だはははははは!」

「………」


 こいつほんとムカつくなぁ……


「リエド、本題に入りましょう」

「あ、そうだな!ルーノよろしく!」




「はい……えー、コホン。あなたの刑が確定しました」




「刑……」


 ゴクッと息を飲む。さすがに死刑とかではないと思うけれど……罰金か、懲役か。何が来るか……




「審議の結果、あなたは、1年間『チームレイン』で我々と共に働いて頂くことになりました」




「……え?」

「……へ?」


 俺が戸惑うのは当然と思うが、何故かルーノ(?)の隣にいる2人も戸惑っていた。


「ちょっと、ルーノどういうことなの!?」

「そのままの意味です」

「おいそれウチでこのぽん太郎を預かれってことか!?」

「はい」

「おい誰がぽん太郎だ!!!」


 しれっと変なあだ名つけるんじゃない!


「……てゆーか、1年の懲役って、故意じゃないわいせつにしては重くないすか?」

「その点もルーノからご説明致します」


 と、ルーノさんは賢そうなメガネを装着して俺に向き直る。


「……ルーノって普段メガネかけてないよな?」

「役作りです。それ以上の意味はありません」

「わーぶっちゃけたね」


「まず、状況整理から始めましょうか。あなたは3日前の昼頃、テレポートを受けて『塔』から排出されました。『塔』は正常に作動し、あなたも五体満足で帰還することができています。しかし、何故か衣類は着用していない状態でした」

「ち、ちょっと待ってください。テレポートとか有り得なくないですか……?そんな技術アニメとかでしか……」

「は?アニメ?何言ってんだ。どんな田舎者でも知ってる当たり前の常識だぞ」


 ……え?そうなの?そんな技術知らない……記憶を失ってるからなのか……?


「……話を続けます。過去の事例で、裸のまま排出された方々は、全員直前まで服を着ていなかった、と供述しています」

「ほう……つまり、ぽん太郎がヌード姿だったってことは……やはりテレポート直前まですっぽんぽんだったんだな!!!」

「ぎゃー変態!」

「ちげーよ!何故か服が消えてんだよ!あのでけぇ猿に襲われてから!」

「へぇー、猿型のイーターにやられたってわけね。つまり、バナナみたいに服だけ脱がされてから食われたと言いたいの?」

「そんな繊細なことするイーターなんてみたことねぇな!はははは!」

「いーたー…?」


 なんだかまた聞き慣れない単語が。


「お前……イーターも知らねぇのか?学校行ってねぇのか?」

「……ひとまず、無知なことは一旦保留にしましょう。とにかく私が言いたいことは、あなたが直前まで服を着ていた、という証拠が無い限り、公然わいせつ罪がひっくり返ることはありません。見た感じ証拠もなさそうですし……」

「……ぐっ」


 くそっ、前科確定かよ。理不尽だこんなの。


「で、だ。なんでこんな判決になったんだ?ウチでぽん太郎を預かるなんて」

「はい、そこなのですが、まず彼は記憶喪失とみて間違いありません。私達を騙そうとするスパイ…という可能性も否定できませんが、裸の彼がスパイだとは考えづらいです」

「確かにー。速攻で牢獄だし。気迫も何も無いし。ただの学生って感じだよね」

「それに小さいしな。何がとは言わんが」

「うっさいわ!」

「ぽん太郎牢屋の中なのに元気だなぁ。罪の意識とかないのか?」

「変態なんだから無いんじゃない?」


 こいつらぁ……俺がどんな状況におかれてるのか知らねぇくせに……!


「そのため、その記憶喪失のケアと監視の意味を込め、この判決に至ったそうです」

「なんだよそりゃあ。しかも1年って長すぎんだろ」

「期間に関してはおおよその期間だそうです。彼が更生すれば短く済みます。逆に落ち着かないのであれば……」

「伸びるってわけね。分かったの?アンタ」

「……うす」


 別に俺もなりたくて裸になったんじゃない。普段通りに生活していればすぐにでも解放されるはず……


「ったく、上も面倒なこと押し付けやがるな!イェリー、なんか一言文句言いに行こうぜ」

「おっしゃあ、ボコボコに言い散らかしてやんよ!」

「ちなみに、経過観察中は助成金が発生します」

「任務、承りました。ぽん太郎、ようこそ『チームレインへ』」

「手のひら返し早っ!?」

「……牢の鍵もルーノのポーチから一瞬で奪い取りましたね」

「安心しろよ!少なくとも10年は更生に付き合ってやるからな!」

「嫌だわ長ぇよ!」



 こうして、俺は牢から脱出することができた。






「自己紹介が遅れたが、俺は『チームレイン』のリーダー、リエドだ!よろしく!」

「私はイェリー!同じく『チームレイン』のメンバー!役割は特にない!」

「ルーノです。『チームレイン』のインテリ枠です」



「あ……どもです」


 現在、俺たちは『チームレイン』のアジトに、車みたいな乗り物で向かっている。


「ソワソワしてるね〜、変態くん」

「緊張するのも無理もないかと。記憶を失っているのですから」


 緊張……もしているけど、それ以上に戸惑っている。




 なんだここ!?俺の知ってる世界じゃねぇ!!!




「……なんで、人、浮いてるんですか」


 大人から子供まで、老若男女問わずみんながみんな当たり前かのように空を行き来している。なんなら建物までも空中に留まっている。こんな光景見たことない。


「え?何言ってんだぽん太郎」

「浮くことのできる原理を聞いているのかと思われます」

「えぇー、そんなこと言われても……浮けるから?」

「そうとしか答えようがないわよねー」

「…………」


 彼らにとって、「人間はなぜ歩けるの?」くらいの質問なのだろうか。そこまで浮くということはごく自然なことなのか。


「……俺も飛べるのかな」

「え!?ぽん太郎もしかして浮いたことねーのか!?」

「嘘でしょ!?」

「おいルーノ!車やめて浮いて帰るぞ!」

「はい。距離もそこまで離れていませんし、ルーノもそれがベストだと考えます」

「え……ちょっ……!?」


 と、リエドさんに車から引きずり出される。


「じゃー私、先帰ってるねー!」

「おー!また後でなー!」


 そう言って、イェリーさんは車を運転して颯爽と去っていった。


「…………」


 はぁ、と少し溜息をついてから空を見渡してみる。



「ねーねー、おばあちゃん、今日の晩御飯は僕が作るんだ!」

「そーかいそーかい。何を作ってくれるんだい?」

「へへー、内緒!」

「ほほほ、楽しみじゃのぉ」



 ごく普通の会話をしながら、空を飛んでいる。やはりここの人にとって空を飛ぶことは日常なんだ……



「ほら、ぽん太郎、行くぞ!」


 と、リエドさんが俺の腕をつかんで飛び立とうとする!


「え、ちょ、どうやるの!?」

「落ち着いてください。足に力を少しいれるだけです」

「せーの、おら!」

「わ、ちょっ……!」



 次の瞬間。



「おらー!」


 リエドさんがビュン!と、凄い勢いで飛び立った!


「うおあああああ!?」


 俺は驚きのあまり、叫びまくる!


「どうだ!ついてきてるか、ぽん太郎!」


 なぜなら……




「リエド、ついてきているのは彼の右腕だけですよ」




「なにぃ!?」



 俺の腕がコルク栓の如くすぽんと引っこ抜けたからだった。



「あああああああああ!?」


 え?腕…?取れた…?は?ちょ……え?痛い…?痛い……のか……?



 バタッ。



「おあぁぁ気絶したぁ!?ちょ……イェリー戻ってこーい!」

「もう見えませんね。叫んでもイェリーには聞こえないでしょう」

「分かってるよ!!!とにかく車だ車!」








「うーん……」



 目が覚める。何度目だこれ。


「……オキ・タ」

「……やっとか。おい皆、起きたってよ」

「んだぁ?おっせぇなぁオイ」

「第一印象が高圧的だと嫌われてしまいます、ラックバーン」

「うるせぇぞルーノ。お前もそのインテリだと嫌われるんじゃねぇのかよ」

「ルーノは完璧なので好印象をキープできています。メガネもいいアクセントになったと考えています」

「ンだとゴラァ!俺にもメガネ寄越せ!」

「わーラックバーンってメガネ全然似合わないね!」

「うっせぇイェリー頭吹っ飛ばすぞゴラァ!!」


 なんだか騒がしい……何してたんだっけ、俺。えーっと、確か……あ。


「ああああ!!!右腕!あぁ!?」

「うお!びっくりしたぁ!」

「あ……れ、腕、ある…」


 確かにあの時リエドさんに引っこ抜かれたはずなのに…生えてる。いや、この表現も正しいのか分からないけど……


「コホン、起きたということで、改めて……」

「え?」




「「「ようこそ!『チームレインへ』!!!」」」




「あ……ども」


 リエドさん、イェリーさん、ルーノさん……あとは分かんねぇな。チームレインは合計6人なのか。


「て、俺の腕はなぜ……」

「フッフッフ……その様子だと、うちのチームが何をしているのか分かっていないようだな……?」


「めっちゃ話遮ったよね、今」

「ノリノリですね」


「説明しよう!『チームレイン』とは……!」

「……主に雑用だろ」

「だぁぁうるさいぞヒーテ!ちょっと黙っとけぃ!」


 俺が何喋っても無駄そうなのでそのまま聞いておく。




「『チームレイン』とは……あの“深夜”レベルのイーターを専門として狩る超精鋭戦闘チームなんだ!!!」




「イーター…」


 さっきもチラッと聞いた単語、イーター。それを狩る仕事……ということは、俺はそれを手伝うってことになるのか……?


「ふふふふふ、恐れ入ったか!ぽん太郎!」

「あ?こいつぽん太郎って名前なのか?」

「……ベリー・オモシロ」

「リエドが勝手に付けた名前ですね」


 イーター……いーたー……何となくだけど、俺を食ったあのデカい猿のことだよな。


「あんた達自己紹介まだでしょ!ほらほらやっちゃいなよ!」

「……俺はヒーテだ。よろしくな」

「アイ・アム・イトミズ……よろしく」

「俺ァ……ぐぉ!?」

「こいつはラックバーンだよ!怖い顔してるしメガネ似合わないけど可愛い子だから優しくしてあげてね!」

「アァ!?邪魔すんなイェリーぶっ飛ばすぞゴラァ!……何見てんだよテメェもついでにぶっ飛ばすぞぽん太郎ゴラァ!」

「いや自己紹介じゃねーの!?」


 何だこの人達怖い!6人しかいないのに100人以上に囲まれているような威圧感だ!


「……はい!こちらチームレイン……あ、はい!了解しました!直ちに出動します!」


 と、何やら誰かと電話をしているリエドさんに気がついた。何の電話だ…?



「お前ら!出動だ!“深夜”レベルのお出ましだ!!!」



 と、リエドさんの発言を聞いた途端、その場の全員の目の色が変わった。


「……アイ・アム・オレ。出動」

「よっしゃー!狩るぞー!」

「ルーノはいつでも行けます」


 方向性がバラバラだった皆さんに、同じ空気が流れ出した。


「なんなんだ、この人達……」

「ちょうどいい機会だ。何もかも忘れているみたいだからな」

「えっ」


 と、ポカーンとしている俺の肩にリエドさんは手を置く。


「な、何をですか……?」





「何をって……そりゃ決まっているだろう!『チームレイン』の素晴らしさをな!!!」





 そう言ったリエドさんの瞳には、炎が宿っているように見えた。まるで、獲物を見つけた肉食獣のように。


「さあ、ついてこい!ぽん太郎!」

「あ、ちょ……!もう腕もがれるのは勘弁っすよ!?」

「安心してください。もげても修復は簡単です」

「えぇ!?」




 こうして、俺の訳の分からない世界での冒険が始まったのであった。

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