blind bird

遠藤みりん

第1話 blind bird

 夜の終わり 朝を告げる鐘の音が鳴る


 鐘の音を合図に暗い空に飛び立つ


 広いはずの空 だけど狭く見える空


 冬の寒い空気を震わせ 薄暗い空に飛び立つ


 終わらない空に迷いながら


 遠くの国を目指し


 羽を広げて羽ばたく


 羽を冷たい風が刺す


 君の本能はその美しい羽を傷付けてしまう


 ある日僕は聞いてみた


「どうして遠くへ旅をするんだ?君の美しい羽が傷付いてしまうよ?」


 彼はこう答えた


「海の広さを知っているか?僕は波と風と踊るんだ」


 僕は更に聞いてみた


「ここは暖かいし敵もいないここが気に入らないのか?」


 彼はこう答えた


「朝の太陽は草原を照らし 夜になれば星と月と空を遊ぶ とても素敵な旅さ」


 そう言うと彼は羽を広げた


 まだ薄暗い空へ飛び立っていく


 色の無い空に迷いながら南へ


 彼はその本能に従い羽を広げる


 美しい羽を羽ばたかせ


 形の無い光を追いかける


 僕は彼が落とした羽を拾い歩き出す


 狭く見えた空はとても広く見えた


 blind bird




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