帰れない

 看護師に連れられて、初めて牢屋から出る。

 牢屋の前に子供の頃に学校で履いた様な上履きが用意されていた。

 これも母親が買って、用意したのだろう。

 母親の文字で私の名前が書いてある。

 唐突に確信した。

 私、帰れないんだ。

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