カラスとロンちゃん

世界の終る日曜日

二羽のカラスが窓の下

トマト畑でさわいでた


だいじな赤ちゃん捕りにきた

しろねこロンちゃん殺そうと

かわりばんこに急降下


ロンちゃんおろおろ逃げまどう

何のことだかわからない

通りがかっただけなのに


ぼくはおうちへ帰るとこ

ぼくのおうちはこっちなの

だけど言葉が通らない


カラスとロンちゃん鬼ごっこ

遠いあぜ道どこまでも

鬼はいつでも黒い方


そのときロンちゃん立ち止り

いきなり空をふりかえる

爪を広げて立ち上がる


爪をひらいて高々と

ひと振り宙をひっかいた

笑って窓に手を振った


トマト畑の青い空

雲がまわるよロンちゃんの

それが最後のごあいさつ

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