こじらせコンプレックス大魔皇王軍‼️

覚醒冷やしトマト

これが大魔皇王軍が誇る!四大魔天王!!!

第一幕 超魔天王 ボース・デンドロス


 かの世界、かの辺境にて暗雲立ち込める空の下に構え立つ居城があった。

 その城の玉座にはある一人の大男が座していた。


 その姿は全身を青い特殊な鎧に包み、淡い赤色の頭部には稲妻模様が走る雷と書かれた角を二本生やしていた。その顔は大きな目玉が一つだけあった。充血した瞳その周りには赤い文様が走っていた。


 そして鎧の外見は両肩には黄色い大きなタイヤの形をした装甲の側面の右肩は「火」と左肩は「氷」と書かれていた。鎧の胸部は機械的な像の顔の形をしておりその額には「水」と書かれており、下半身の腰ベルトには「風」と書かれていた。


 手や足が極端に大きい...以下にもパワー系と思わせる外見をしている。

 そう彼こそが、大魔王軍所属四大魔天王が一角!

 超魔天王 ”ボース・デンドロス” その人である。

 そして怒りに呑まれた瞳には一体何が移り何を思うのか。


 すると慌ただしくも玉座に駆け寄ってくる彼の部下のガーゴイルがやってきた。

 ガーゴイルはボースに対しこう言った。


「大変です!ボース様!メインホールにて獅子王様と牛角王様がご乱心に!」


 するとボースはその鋭い眼光を報告してきた部下へと向けこう言った。


「あのバカどもがぁ...!今すぐ向かう...」


 そう激しい怒りが籠もる重低音の声が玉座の間に響き渡る。

 部下の多くは青ざめ、失神しかけたのだった。


 ーーーーーメインホールにてーーーーーー


 絶賛お取り込み中の二人がそこに居た。

 ライオン獣人の獅子王とミノタウロスの牛角王の二人である。

 獅子王が喋る。


「おやおやこれはこれは、力自慢しかしない無能な牛殿ではござらんか」


 と煽る獅子王に牛角王がこう返した。


「フンッ!そういうお主はメスに狩りを任せきりのニート種族ではないか」


 と煽り返す牛角王……。このとき二人の琴線が音を鳴らした!


「やんのか!ゴラァッ!!」「おうとも、かかってこいや!腑抜けッ!!」


 彼らは武器を取り出すほどの喧嘩になったが、間もなく二人の戦いに忍び寄る大きな影が現れた。

 そう戦いに夢中の二人は気づかない真隣に彼らの主であるボースがいることに。

 そしてボースは二人に向け両の拳を思いッきし振り、突き放すかのように殴り飛ばして言う。


「このバカどもがぁあああ!!!」


 怒声が響き渡り、殴り飛ばされ壁にめり込んだ二人は気を失っていた。

 ボースが喋る。


「内部で争い戦力を削るマネはよせとアレほど言ったにも関わらず....。このオレ様の命令に背くとなぁ...おい!見物している貴様らぁ!」


 と周りに居た部下の魔物たちに声をかける。それにビビる魔物たち。


「この二人を自室へ運び軟禁しろ!オレ様はもう部屋へ戻る...」


 といいボースは自室へと帰っていきました。

 ボース様が見えなくなったところで部下の魔物たちがコソコソと話し出す。


「いやぁ今日のボース様荒れてたなぁ」


 と友人の魔族に話す。


「仕方ないさ、侵攻前夜にこれだもんなぁ。あのお二方は普段から不仲とはいえ、今日のは流石にボース様の命令無視だからなぁ」


 と冷静に語る。


「今日はもうボース様の部屋の横は通らないほうが身の為かもな」


 といつもの調子で言う。


「そうだな」


 と強く同意を示す。


 ーーーーーーーーーボースの自室ーーーーーーーーーーーー


 この城の主が住まうにふさわしい部屋が主を迎える。

 ボースはくたびれた様子で”ドレッサー”へと向かう。


 するとボースは鎧を脱ぐ。いやこの場合は脱ぐではなく降りるが正解かもしれない。ボースは両手で自らの頭を引っこ抜いたのだ。衝撃的な瞬間である。

 さらにボースは頭の角を取り外した。


 ボースの頭には別に手が生えていた、しかも足もあった。

 人の手足のようではなく、かわいらしい手足であった。

 そうボースは巨漢なのではない。1頭身のグレイトアイという単願族の魔族なのであった。


 そうして彼は目の周りにある赤い文様を濡れた布で拭い、血走ったコンタクトを外しその外見からは怖さのかけらもない姿がそこにはあった。

 これが超魔天王 ボースの実態である。


 過去、彼は弱かった。魔力はあれど身体能力が低いおかげで他の魔物とは一線を引く弱さだった。彼はそれ故に自らの弱さを嘆き悲しんだ。その時に大魔皇王様からアーティファクトの鎧と角を授かった。その名もフォースエレメンタルアーマーとライトニングホーンである。その鎧を身に着けてからは破竹の快進撃を遂げ、四大魔天王の一角を担うほどとなった。それ故に彼は大魔皇王様に大恩を抱いている。


 がしかし、一つだけ問題があった。それは彼自身は強くなっていないのである。

 故に彼より強い部下に日々寝首をかかれないか、己の本当の実力と姿を知られた時を想像し自らの部下に内心ビビり散らかしているのだ。

 それでも部下に舐められまいと口調も荒々しくしている。その性根が本当は臆病であるがために慎重な作戦と実行している。

 そしてボースが無い口を開いて喋る。


「はぁ...疲れた。明日は侵攻作戦かぁ憂鬱だ。血気盛んな部下の二人は揉め事を起こすし、もしこの姿がバレでもしたら....恐ろしい」


 超魔天王とは思えない発言である。


「もう今日は寝よう。絶対にこの部屋を開けられないようにしてと...」


 そう言い、自身の体のサイズよりオーバーすぎるサイズの寝具に入り床についた。

 ふとしたその瞬間、部屋の扉を叩く音が聞こえる。


「ボース様。少しよろしいでしょうか?」


 と部下の魔族が話しかける。それに対しボースは酷く動揺する


(え!?いや待ってど、ど、どうしよう?!あーぁえっとーー)

「なんだ?オレ様は今忙しいのでな、手短に頼む」


 と取り繕い始めるボースに対し、扉越しの部下はそのまま続ける。


「大魔皇王様の使者からご連絡を承りまして、明日の侵攻作戦が終わり次第に大魔皇王城に集結せよとのことです。全四大魔天王を集めた近況報告会を執り行うそうです」


 と部下の魔族は言い終えた。それに対しボースは少し無い眉をひそめる。


(うげーー他の四天王も来るのかぁ。となるとカーミットと会うことになるのか。嫌だなぁあの人のボクを見る視線がなんかこう痛いというか怖いというか殺気を感じるんだよなぁ)


 と更に愚痴をこぼす。カーミットとは死魔天王という称号を持つサキュバスロードとヴァンパイアロードのハーフである。それゆえにその美貌は魔王軍一で紅一点と部下達の間で称されるほどである。

 ボースは部下へあえて若干不機嫌そうな口調で返答する。


「わかった。ではもう下がれ」


「ハッハイ!それではおやすみなさいませ!」


 そう言い部下は去っていった。若干不機嫌そうにすることでこのようにこれ以上関わらせないようにするためのボースの策である。


(さて明日の侵攻作戦頑張らないとなぁ)


 そう思いながらボースは眠りについたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 完


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 次回予告 死魔天王 カーミット・リューリクス

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