パッとしない俺、山で狼を助けたらケモ耳美少女になって俺の元に訪ねてきた件

昼乃 夜空

プロローグ

「それじゃあ皆、気をつけて帰るように、起立。注目。さようなら。」

『さようなら』



気温が低くなり、季節が秋から冬に差し代わる頃の夕方、俺こと九条くじょう 奏斗かなとは帰りのHRが終わって荷物を片付けていた。

 今日は早く学校が終わったから夕飯の材料を買ってさっさと帰るか





スーパーで軽く野菜や肉を買い、家に着いた。

 少し古びたアパートの階段を登りドアを開ける。

「ただいま〜。」

すると、奥の方からバタバタとこっちに走ってくる音がした。

「おかえり!奏斗!!」

美少女がリビングからやってきた。

「ただいま。りん。」

凛と言われた少女は綺麗に磨かれた鋼鉄のような銀灰色のロングヘアーで宝石のような碧眼の瞳、そして頭には獣の耳がついている。



「かなと〜!」

そう言って凛は俺にぎゅっと音が出そうなほどの強さで俺に抱きついてきた。俺が学校に行ってたから寂しかったのだろう。

 凛が俺の体に顔を埋めてるから表情がよくわからないが尻尾がブンブンと勢いよく張られているから嬉しいというとは伝わってくる。



丁度いい位置に頭があるから撫でてみると、

「えへへ〜」

凛が腑抜けた声を出して尻尾をさらに勢いよくブンブンと振る。



 「奏斗〜」

急に凛が顔を上げた。

「どうしたの?」

——ガプリ

その問いに答える前に夜空が俺の肩に甘噛みしてきた。

凛にとってこれはマーキングのようなものらしい。

やっぱり凛はかわいいな










_________________

「凛、そろそろ離れよっか。」

10分ほどハグをしたので無理やり引き剥がす。

「むぅ、わかったよ。」

凛は引き剥がすたびにしゅんとした顔をするから毎回罪悪感を感じてしまう。



靴を脱ぎリビングに行くと凛が晩御飯の準備をしていた。

凛の料理はお店レベルで美味しいから毎日の楽しみだ。



そんなことを考えていると今雪が降り始めたことに気がついた。




「あ、初雪だ。」

雪を見るといつもあの日のことを考えてしまう。


「奏斗、そんな顔してどうしたの?」


「ああ、凛と初めて会った日のことを考えてたんだよ」





そう。ある残雪が残っていた場所で俺たちは初めて出会った。



今思えばあの頃からだった。俺のつまらない人生に色がつき始めたのは

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パッとしない俺、山で狼を助けたらケモ耳美少女になって俺の元に訪ねてきた件 昼乃 夜空 @atarasiihirunosora

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