新月の夜に

男は、拾った手紙を そっと小瓶に入れた。

くるくると 丸めて 戻した。


キュッ と、蓋をしたのに

わずかばかりの

女の残穢が 

男の指に 絡みつく。


見なければ よかった……


男は、少しだけ後悔した。


けれども、

起こってしまったことは……

 

過ぎた時間は巻き戻せない。


そのまま、

小瓶を振って

手紙が中に入ったことを確かめると、

コートのポケットの中へ。



男は、今日の仕事を終えた。









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