1―40 事故の影響
ごめんな、助けてやれなくて。
もっと呼んでやったら、良かったのかな――。
あの日、ただよう煙と火薬のような匂いの中で思い知った絶望が、ずっと全身にまとわりついている。
どうして、こんな子供が。
神様、どうか助けて。
必死に叫んだが、どうしようもなかった。
できることはやった。みんなそうだ。
それでも、自分を責めるような無力感と罪悪感が胸をいつまでも締め付けるようだった。
あの日、一緒にいた大学の同級生に「週末、献花に行こう」と誘われて来てはみたが、やはり駄目だ。
あの日のことがフラッシュバックし、涙が込み上げてしまう。
まぶたの裏に映る鮮明で無情な映像を前に、救えなかった命へ言い訳するように、想いが口をついて出た。
「ごめんな、助けてやれなくて」
やがて立っていられなくなり、同級生に支えられる。
自分は、これからどうなってしまうのだろうか?
この感情と、どう向き合っていけば良いのだろうか?
周囲の人にどう思われるかなど関係ない。
この感情が正しいかなどどうでもいい。
それどころではない。
「できること」を、やっていくしかない。
第1話 完
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