第29話 犯人の影




 どうして自分がって、今でも思ってる。どうして、私だったのかって。そうでしょ?





 神様。



 何で、私なんだ?どうして、清く正しく怠惰に生きてた私が、こんなマンガの主人公のような目に合わなけりゃなんねんだよ!!こういうのはもっと、厨二全開に拗らせた奴とか、夢に夢見るお年頃だとか、ハイスぺリア充だとか、やる気と妄想と情熱の漲った青少年でいいじゃんか。そりゃ、魔王討伐しろとか、聖女になれとか、世界を救ってくれなんて言われなかっただけマシだよ?私そんなこと言われた日には「てめぇらでなんとかできねぇんならどうにもなんねんだよ」って素で返す自信あるよ?それで首と胴がおさらばしようと、言ったったさ!!!

 が、何にも言われず、何にも説明なく、いきなり幼児化して放置って、どんな鬼畜プレイ!?しかも、1に買い食い、2につまみ食い、3,4がご飯で、5に取り寄せグルメの私を、クッソまじぃ食文化の世界に放り込むとか、何の恨みがあんだよ。


■ カエデ ヤマシナ (6) Lv.8 女 ヒューマン

 HP 90/90  MP ∞  SPEED 7

 ジョブ:チャイルド

魔法属性:全属性 『上級魔法 Lv.100』『身体強化魔法 Lv.3』『治癒魔法(ヒール)Lv.100』『回復魔法(キュア) Lv.100』『完全治癒(リディカルキュア) Lv.100』『付与魔法 Lv.10』『特級火魔法 Lv.1』『古代闇魔法 Lv.I』

 スキル:『探索(サーチ) Lv34』『審眼(ジャッジアイ)Lv.27』『隠密 Lv.3』『逃走 Lv.4』『狩人 Lv.10』『スルー Lv.999』『万能保管庫(マルチアーカイブ)Lv.1』『ユニーク:絶対防御』『双剣術 Lv.10』

 状態:『若返り』『闘神の加護』

 称号:『異世界人』『怠け者』『食道楽』『料理人』『破壊魔候補』『自己至上主義者』

 アイテム:奴隷[竜人:グラディオス]

      所持金 56,697,550ユール


【ズーム10】

魔法属性:全属性 『上級魔法 Lv.100』『身体強化魔法 Lv.3』『治癒魔法(ヒール)Lv.100』『回復魔法(キュア) Lv.100』『完全治癒(リディカルキュア) Lv.100』『付与魔法 Lv.10』『特級火魔法 Lv.1』『古代闇魔法 Lv.I』

 スキル:『探索(サーチ) Lv34』『審眼(ジャッジアイ)Lv.27』『隠密 Lv.3』『逃走 Lv.4』『狩人 Lv.10』『スルー Lv.999』『万能保管庫(マルチアーカイブ)Lv.1』『ユニーク:絶対防御』『双剣術 Lv.10』

 状態:『若返り』『闘神の加護』

 称号:『異世界人』『怠け者』『食道楽』『料理人』『破壊魔候補』『自己至上主義者』


【ズーム100】

 状態:『若返り』『闘神の加護』


闘神の加護>闘神 アストラの加護。自動戦闘能力付与。生命危機に瀕した際、HP限界値を一時的臨界突破し身体機能、能力up。


「誰だよ、アストラ!?」

「何じゃ、アストラ様を知らんのか」


 フリーズからの私の雄叫びに、ヴァンガードさんが驚きつつ尋ねてきた。


「知ってんですか?」

「もちろんじゃ」

「まぁな」

「僕たち冒険者や騎士は、あやかりたい神ですね」

「…神様って、いるんですか?」


 哲学的問い、いや神学的問いになってしまった。素でこんな質問をする日がこようとは。


「見た奴ぁいねぇが、神話にゃいるってはなってんな」

「何処に行けば会えますか?」

「・・・・・・・・何にだ?」

「神って理不尽の権化にです」


 座った目でインフォメーションセンターへ問合わせる私を、困惑した顔で見る一同を気にせず、私は一番物知りそうな年の功ヴァンガードさんの回答を待つ。


「知らねぇな」

「カエデは、神に会いたいのか?」

「会いたいか会いたくないかで言ったら、大して会いたくない。でも、文句あるかないかって言ったら、盛大にあるから、この思いの丈をぶつけないと気が済まない」

「神とか、寝物語のやつだろ」


 グランの問いに答えれば、ウォルフが聞き分けのない子供を見るような顔で教えてくれた。だがしかし、私のステータスに加護と出ている以上、奴はいる。存在するのだ。そして、会った覚えもない神とやらの破格の待遇。本事案の犯人かその関係者である可能性が大。最重要参考人ということだ。だったら、会わねばなるまい。そこで、私はふと思いつく。


「神殿ってないんですか?」

「しんでん?何かの道具か?」

「…神様を祀る信仰深い人が集う、神様が降臨されると信じられてる場所的な」

「「「「?」」」」

「そんな場所があるんですか?」


 首を傾げる様子から、この世界ではそもそも神降臨の考え方がないんだろう。


「神様って、何でいるって言われてるんですか?」

「そりゃおめぇ、世界とダンジョンを創ったって存在だからな」


 曰く、世界を創造した5柱の神 天空神、地母神、海神、慈愛神、闘神が其々ダンジョンという試練の場を創り、それにより世界に魔物も出現した。とのことだ。

 そしてその話しは、昔話だったり、収穫祭だったりで語り継がれ、自然信仰されているのだとか。想像してたガッツリ宗教はこっちにはないっぽい。


「ダンジョン…」

「創世神が直々に創ったとされるのは、未だ踏破した者のいない上級ダンジョンです」

「上級ダンジョン…」

「その後に生まれた眷属神によってできたとされる中級ダンジョンは、いくつか踏破されていますがね」

「ダンジョン挑戦者は、神に挑みし者って言われるくらいだからな」

「神に挑む・・・」


 中級ダンジョンはルアークも含め20カ所、内8カ所が踏破済みだとのこと。


「あれ?でも、ルアークのダンジョンって割りかし新しいんじゃないんですか?隣国から独立したきっかけだって」

「まぁな。ルアークのダンジョンは中級じゃ、一番新しいからな。1,000年くれぇ前だ」


 え、10世紀か。永くね?十分歴史ある国じゃね?話聞いた感じ、独立したのもっと最近だと思ってた。


「なら、1,000年前神が現れたんですか?」

「現れちゃいねぇな。だが、中級以上は最下層のボス部屋の奥に、そのダンジョンの創造神の名が刻まれた建造物があんだとよ」

「不思議なんですが、踏破されてないのにそのダンジョンが何層階かってどうして分かるんですか?」

「そりゃ、ダンジョンマップに表示がある」

「じゃ、最下層に行くまでは、どの神が作ったか分からないと?」

「だな。1柱の神を除いて」

「1柱だけ?」

「えぇ。始まりのダンジョンにして、最高難易度とされる天空神が創りしダンジョン “アブァロン”を除いて 」

「へぇ。・・・ルアークは踏破者いるんですか?」

「あぁ。過去2回な」

「ルアークは、ちょうど闘神の眷属 獣王神の創ったダンジョンなんだぜ」


 ディオルグさんの追加情報に、ふむっと考える。


「因みに、こいつらが今のトップランカーじゃ」

「僕たちも漸く25層ですが、まだ5層ありますから」

「いや。俺らじゃねぇ」

「え?」

「俺らは、現役のトップじゃねぇ」

「あ?」


 ディオルグさんの台詞に、クリスさんもヴァンガードさんも戸惑い顔で眉を顰めている。


「十数年前、俺がまだ駆け出しの頃、今の俺らより深部に潜った奴らがいた」

「あぁ…だがありゃ、流れの奴等だろ。今も生きてるんなら、噂にくらい聞くはずだ」

「どんな人たちだったんですか?」


 私は世間話ついでに尋ねた。ディオルグさんは、私の方をチラリと見て当時を思い出すように口を開く。


「そこそこ偉いお貴族様が、えらく強い戦闘奴隷を持っててな。お家相続の箔付けの為だとかで踏破に挑んだ。29層目 踏破目前で、仲間内の裏切りがあったとかで、結局ご破算よ」

「あの時ゃ、ルアーク内でもそりゃ盛り上がった。ぽっと出の貴族が、数百年ぶりのうちのダンジョン踏破者に名を連らねんのかってな」

「そうだったんですね。そう言えば、うっすら大人がそんなことを騒いでたことがあったような。僕は幼かったので、あまり覚えがありませんね」

「へぇ~」


 相槌を打ちながら、私はさっきのディオルグさんの視線を思い出す。私を、そしてほんの一瞬、私の後ろを見た気がした。私の背後に立つ、その存在を。

 ま、そんな事より話を整理しよう。今回のヤマの元凶である犯人(ホシ)はまだはっきりしないとしても、私にまるで賠償補填と言わんばかりの保証サービス特典を付けた奴は、少なくとも共犯者或いはその関係者である可能性が高い最重要参考神であり、そいつとサシで話す必要がある。この世界に神殿はなく、でもそいつのシマかヤサと目されるダンジョンがカギになるってぇわけか、山さん。


「勉強になりました。で、この双剣いくらですか?」


 取り敢えず、私は気を取り直して買い物を続けることとした。


■ カエデ ヤマシナ (6) Lv.8 女 ヒューマン

 HP 90/90  MP ∞  SPEED 7

 ジョブ:チャイルド

魔法属性:全属性 『上級魔法 Lv.100』『身体強化魔法 Lv.3』『治癒魔法(ヒール)Lv.100』『回復魔法(キュア) Lv.100』『完全治癒(リディカルキュア) Lv.100』『付与魔法 Lv.10』『特級火魔法 Lv.1』『古代闇魔法 Lv.I』

 スキル:『探索(サーチ) Lv34』『審眼(ジャッジアイ)Lv.27』『隠密 Lv.3』『逃走 Lv.4』『狩人 Lv.10』『スルー Lv.999』『万能保管庫(マルチアーカイブ)Lv.1』『ユニーク:絶対防御』『双剣術 Lv10』

 状態:『若返り』『闘神の加護』

 称号:『異世界人』『怠け者』『食道楽』『料理人』『破壊魔候補』『自己至上主義者』

 アイテム:奴隷[竜人:グラディオス]

      所持金 56,697,550ユール


■グラディオス (179) Lv.326 男 竜人

 HP 1,690/1,690  MP 2,690/2,690  SPEED 299

 ジョブ:戦闘奴隷〔契約主:カエデ・ヤマナシ〕

 魔法属性:闇・風・火属性 『古代闇魔法 Lv.X』 『上級風魔法 Lv.100』『特級火魔法 Lv.45』

 スキル:『隠密 Lv.89』『剣術 Lv.97』『体術 Lv.100』『暗殺術 Lv.60』『従僕スキル Lv.82』

 称号:『紫黒の死神』『始祖竜の末裔』


■ウォルフ:(9)Lv.13 男 獣人(狼属)

HP 125/125 MP 39/39 SPEED 194

ジョブ:孤児

魔法属性: 火・無属性『身体強化魔法Lv7』

スキル:『追跡術 Lv5』『噛千切 Lv5』『掻爬 Lv7』

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