第27話

 吹き飛ばされていた漆黒の全身鎧騎士による、凄まじい速度の斬撃が

 武装した女性へ襲い掛かるが

 女性は盾を巧みに使い軌道を反らす

 一瞬の攻防の中、漆黒の全身鎧騎士は刹那の隙を突いて

 再び斬りつける

 凄まじい速度の斬撃が武装した女性へ襲い掛かるが、女性は盾を

 巧みに使い軌道を反らす

 一瞬の攻防の中、漆黒の全身鎧騎士は刹那の隙を突いて斬りつける

 火花と共に甲高い金属音が鳴り響いた

 斬撃を受ける事ができなく防戦一方となってしまう武装した女性だが、

 猛攻に耐えながら剣撃の間に槍を振るい漆黒の全身鎧騎士を

 後方へ弾き飛ばす


(ほんと何なんだよこれ? これがこの『世界線』の現実とか

 マジで笑えないんだが……)

 彼はそんな事を思いつつも、短剣を構えながら再び傍観を続ける

 その間に体勢を整えた武装した女性の姿が消えた

 いや、消えたわけではなく彼の眼では速すぎのだ

 武装した女性は漆黒の全身鎧騎士の背後から槍の鋭い一撃を放つ

 だが、漆黒の全身鎧騎士もそれを察知していたのか屈み込み

 槍の一撃を躱す

 すると、武装した女性が次にとったのは蹴りだ

 足裏での回し蹴りが漆黒の全身鎧騎士へ炸裂する。

 しかし、直撃する前に盾でガードし衝撃を殺すことはできたようだ

 そのお返しとばかりに、漆黒の全身鎧騎士による斬撃が繰り出される



 一撃一撃の斬撃は、砲撃の如く衝撃が周囲の地面を破壊していく

 立て続けに放たれる漆黒の全身鎧騎士の一撃により、彼との

 闘いでも損傷していた女性の盾に亀裂が入った

 暴虐的エネルギーの斬撃が風を切り裂き、回避している女性の

 横腹を裂いた

 神速とも言える一撃は武装した女性を吹き飛ばし、周囲を

 破壊するかのような衝撃と轟音を引き起こす

 彼は吹き飛ばされていく女性を眼で追うことしかできない

「・・・・」


 現実離れした闘いが繰り広げられている中で、彼は困惑していた

 肉体的ではなく精神的にだ。

(・・・何この『世界線』!? ハリウッド映画やアニメの魔法が

 飛び交う様な戦闘が普通にあるの?

 てゆーか、これで下位『召喚』って嘘だろ?)

 彼がそう思考を巡らせていると、吹き飛ばされた武装した

 女性が立ち上がっていた

 武装した女性は、口元から垂れる血を拭うと足に力を入れて

 跳躍し一気に間合いを詰める

 その先にいるのは漆黒の全身鎧騎士ではなく――彼だ

「ま~じぃかぁぁ!!」

 彼は悲鳴を上げて躱す準備をしようとして、凄まじい

 風切り音と共に武装した女性が斬撃を受けて引き裂かれた

 武装した女性の攻撃は、彼に届く事なく空振りに終わった

 漆黒の全身鎧騎士の渾身の斬撃で、武装した女性が盾ごと

 身体を切断されてしまったのだ

「えぇ~・・・」

 彼は呆気にとられて、言葉が出ずにいるが仕方ないだろう

 圧倒的な差のある戦闘を見せられ、第三者視点から観戦していた

 彼の脳はパニック状態に陥っていた。

 そのため気を抜けていたが、武装した女性の動きはなかった

 漆黒の全身鎧騎士の鋭い一撃が、武装した女性を斬撃で上下に

 両断したため消え失せてなくなっていたのだ



 一連の闘いは、まるでアニメやラノベの有名なキャラクタ達の死闘

 を観ているようだった

「本当に何なんだよ・・・この『世界線』」

 彼はそう震える声で囁くように呟く

 彼はそのまま座り込み、茫然となっていた

 もはや何が何だか分からないといった状態だ

 何だか分からないといった状態だ

 そんな状態の彼に対して一仕事を終えたと言わんばかりに漆黒の

 全身鎧騎士は振り返ると、彼に近づいて臣従儀礼を行った

 彼が何か言おうとした時、脳内で言葉が響いた


『女神召喚陣解放・・・女神名:パラスアテナ』


「今度はナニを開放したんだ?」

 彼がそんな思いを抱くのも無理はないだろう

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