第一章 ①はじまりの宇和島
小春日和の瀬戸内海の反射光が
人間はこのひと月に『未來』の明暗分かれたる
知らないから神の力を信じない。
信じないから自らの運命が定められていく『カミハカリの演算』を恐れもしない。
あべこべに。
谷風吹くみかん畑に。男の荒い息遣いが
仰向けに横たわる幼女の顔は
幼女の見つめる視線の先には。天空を飛翔する真珠色龍神の姿があった。
真珠色龍神は空上静止した。キラリ、龍眼が光る。たちまちに青い空に黒雲が呼び寄せられた。途端に辺りは暗くなって
ジュウウウゥゥ……。真珠色龍神は怒りを
落雷の衝撃と首筋に走った
ふと視線を下に落とす。地面には血まみれの幼女がぐったりとして横たわっている。
死んでしまったのか? まるでボロ人形のように動かない。
かすかに
瞬時に自己保身の心に支配される。男は幼女を置き去りにして走り出す。
急な斜面を転げるように駆け降りる。停めてあるシルバーのワゴン車の運転席を占拠してアクセルを踏み込んだ。キキキイィッ、タイヤを鳴らして急発進させた。
エンジンをうならせながら猛スピードで砂利道を走り抜ける。騒音は雷鳴に打ち消されていた。
男の首筋には消えない
真珠色龍神は急いで
ある場所では。或る
そして。変革していくであろう未來の
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