第28話 【 お土産 】


 私たちは、サント・ドミンゴ・グズマン聖堂の広場まで来た。「凄いね。出店もいっぱい。なんか食べようかな」

「そうやね。凄いね。これにつかさ、来たかったんだよね。どお、来て良かった? 」

「うん、良かった、良かった。でもなんか食べよう。お腹すいた」

「あはは、そういや昼、まだなんも食べてなかったね。食べようか」

「うん」

私たちは、空港に昼前に着いたものの、食べる時間もなく、メキシコシティで朝ごはんを取って間もなく、お腹も減ってなくて、何も取らずにいたけど、プールへ先に行ったために、二人ともお腹ペコペコだった。二人、それぞれタコスを二つずつ食べてからお土産を見て回った。明日は夕方出発だが、いよいよ帰らなければならない。エコノミーな旅行は、ぼくら庶民には手頃な値段だが、せっかちに時間が過ぎて、いろいろ押し込んで、直ぐに終わってしまう。嫁さんと来る時はもっとゆったりとしたスケジュールにしたいもんだ。

メキシコのお土産と言ったら、帽子、サルサ、コーヒー、チョコレート、カゴ細工、カラフルな陶器のタラベラ焼きなどがあるらしいが、刺繍も有名らしく、民族衣装のウィピルやTシャツに可愛い刺繍をしたものを売っている店に先ず私たちは立ち寄った。私は、重い物は持てないからTシャツぐらいなら嫁さんに買って帰れるかと思ったのだ。Tシャツよりもウィピルが断然可愛いのがあったので、つかさに買ってあげて、嫁さんにも同じぐらいの値段のものを、やや落ち着いた柄のものをお土産として買った。

「こうじさん、なんか欲しいものないの?」

「買ってくれるの?」

「うん、お母さんがおじさんにもなんか買ってやれって、お金もらってきた」つかさは笑ってそう言った。

「マジ?  おじさん。そうなんだ、つかさのお母さんからしたらほんとおじさんやね。ありがとう。そうやね、みんな可愛いけど、男物は有るのかな?  つかさが買ってくれるってことでしょう。嬉しい。涙出てきた。もう、乾いたけどね。さすが乾燥地帯」

「うそ、流してないし」

「ほんと、ほんと嬉しい。七分袖ぐらいのやつでいいから、つかさ選んでくれない?  つかさが選んだものならどれでもいいし、女物でも着る」

「いやん、こうじさん、女装の趣味が有るの? だから私にも手を出さないのか。あははは」つかさはまた大きな声で笑った。結局、つかさは刺繍少な目の男性用と思えるウィピルなのかどうか分からないシャツを買ってくれた。

それからバラバラになったり、一緒になったりしながらそれぞれのお土産を買うためいろいろ見て回った。私は軽くて小さいもの中心。つかさはいろいろと買っていた。小遣いはたくさん持ってきたようだ。


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