第22話 【 乾杯 】


「じゃ、乾杯しようか」

「うん」

「かんぱーい」

ワインはつかさの意見で白にした。つかさは未成年だが、メキシコの法律では18歳から飲めるという事で少しならいいだろうということと、つかさも飲みたがったので、二人共グラスワインを頼んだ。つかさが飲めなくなれば私が飲めばいいと思った。

「お疲れ様。やっと着いたね。遠かったね。大丈夫? 疲れてない? 俺がなんとかなってるんだから若いつかさは全然大丈夫かな?」

「うん、大丈夫。いっぱい寝て来たし」

「良かった。今夜は俺のイビキで眠れなくても大丈夫やね。俺はあんまり飛行機で眠れなかったから寝る。あははは」

「はい、やかましくても私眠れます」

「ありがとう。大丈夫?  酷いらしいよ」私はこりゃ、今夜も寝れないかもしれないなと思った。

「明日の予定だけど、どっか行きたいところ調べてきた? ピピラの丘は行かないといけないよね」

「うん、行く行く」

「ねえ、リメンバーの死者の国のモデルだもんね。夜景も観に行こう。朝は朝で行って、夜も観たいよね。リメンバーの死者の国、夜景になってたもんね。映画見てて、やけに立体的になってるなと思ったけど実際、モデルになった街があったんやね」

「うん、映画綺麗だったね。行こう」

「暗くなるのは、8時過ぎらしいから夕食は途中か丘の上でなんか食べよう。明日はワインなしね」

「えっ、じゃ、もう一杯頼もうかなあ」

「強いんだなぁ。普段も飲んでるの?」

「ううん、あんまり飲んだことない。高校生だったし、ちょっとなめた程度」

「その言い方、なんか怪しいなあ。けっこう飲んでたでしょ? あはは。それ飲んでしまってからね」

「はあい」

そう言って、つかさと私は

ワインに口をつけ、前菜を食べ尽くした。

「他に行きたいところはない?」


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