第3話 SUGOラリー 観客太田の視線

 SUGOラリーに興味をもって2年目。地元蔵王町でスペシャルステージ(以下SS)で開催されるということで、見るようになった。

 昨年は、青麻山の林道コースは立ち入り禁止だったので、スキー場の大型モニターで見ていた。この林道は自分の車で走ったことがあるが、4駆のジムニーでないとなかなか難しい。ふつうの車の4駆では底をこすってしまい、一発で車を壊しそうなコースだ。そこをラリーカーは信じられないスピードで駆け抜けていく。ボディを強化しているとはいえ、さすがラリーストだ。

 スキー場の第3ステージは、駐車場の観客スペースで見てから、ゴンドラで上に上がった。ゴンドラの頂上駅近くがラリーカーのUターン場所になっており、そのターンがうまいかどうかで、ドライバーの技量がわかる。わずか4分ほどの走りなのだが、登り下りではあまり差がつかない。このターン地点には雪が少し積もっており、最高のテクニックが要求されるのだ。自分も雪道を走るが、泥と雪が混じった道は走ったことがない。自分の車ではすぐにスタックするのがオチなのだ。

 今年は国際ラリーストが参加して、異次元の走りをしている。世界は広いなと思わされた。

 

 2日目は、モトクロスコースのサービスステーションに陣取った。大型モニターもあるし、ドライバーと会話もできる。モトクロスコースの観客席で見ることもできる。泥んこまみれのラリーカーはかわいそうなくらいだった。


 3日目は最高の日だ。午前中は東ピット上のスタンドで見た。スタート地点と、パドックでのジムカーナコースの走りが見られる。ヨーロッパでラリークロスというレースが流行っているというのが、よくわかる気がする。フィニッシュラインの攻防は身震いするほどの緊張感があった。10%勾配を登ってきたアウトコースのクルマがピットレーン入り口で急ターンをしたインコースのクルマをフィニッシュラインぎりぎりで抜くさまは、レースの迫力そのものだった。

 午後は、トライアル広場の大岩の上で見た。馬の背コーナーを突っ切って、グラベルに入ったクルマが10ポスト前で右ターンをして、ジャンプ台に向かっていく。そのジャンプを見て、観客は大盛り上がりだ。国際ラリーストの勝山はここで10mの大ジャンプを見せた。国内ラリーストの倍はとんでいる。ただ、その後のSPコーナーではコースをはみ出し、あやうくガードレール沿いのセーフティマットにぶつかりそうになっていた。

 SP広場では多くのテントが立ち並び、ラリーグッズや地元の名産品を売っている。キッチンカーも10台ぐらい並んでいて、仙台名物の牛タン串は早々に売り切れとなっていた。ここに来るだけでもラリーを楽しむことができた。

 来年は、2日目に開催されるラリークロス体験会に参加しようと思う。愛車のジムニーではタイムはのぞむべくはないが、参加することに意義がある。それこそがラリーの楽しみかもしれない。

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