エピローグ

エピローグ

「さぁ、もう行こう、兄さん。時間、無くなっちゃうよ」

「ああ、そうだな。」


 俺はズボンのポケットから、くたびれた文庫本を取り出し、墓石の前に置いた。

 本の題名は、ハムレット。


「すごい、いいレストランなんだ。料理もおいしいし、雰囲気もいいし」


 唯志にー強太にひきずられるように、俺は墓を後にした。

 突風が、俺の後ろを通り過ぎ、本のページをめくる音が聞こえた。

 振り返ると、かすかに公一のあの笑顔が見えたような気がした。


『ありがとう、純平……』




 The End

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