第6話 どこの世界でも女性は強いわ・・・


「ドナドナド~ナド~ナ~仔牛をの~せ~て~♪」


俺は今、流れていく景色を眺めながらドナドナを歌っている

哀しい曲を歌いながらも俺のテンションは絶賛爆上がり中だ


「・・・夜人くん、楽しそう(?)だね。」


「うん!僕、お外初めてだから。」


「そう、だよね・・・夜人くんもお外に出たかったよね。」


「うんっ!」


月姉さんの問いかけに力一杯肯定すると何処か申し訳なさそうな表情を浮かべる

初めて違う世界の外に出た事により天使に対する配慮が足りていなかったっ!!


「で、でもお家も楽しかったよっ!麗お姉ちゃんも居たしっ!!で、でも月お姉ちゃんとももっと一緒に遊びたいなぁって・・・」


「よ・・・夜人くん、良い子っっ!!!」


「わふっ!!」


必死のフォローが功を奏したのか、月姉さんは涙目になりながら抱き着いてくる

純真無垢な気持ちで抱き着いてくるが・・・こっちとしては非常に体裁が悪い

俺は断じてロリではない(2回目)が天使から抱きつかれてしまうとにやけてしまうのは不可抗力だろう


「夜人くん、これから行く保育園はちみもうりょうの世界なの。お姉ちゃん以外には優しくしたら駄目よ。」


天使の包容を甘んじて享受している俺に対して天使は似つかわしくない単語で俺を諫めてきた


「え?何で?」


「女はみんなもうじゅうなの。夜人くんみたいな男の子に優しくされると、みんな勘違いしちゃうの。」


「でも僕、友達も欲しいし・・・」


「男の子には優しくしても大丈夫。でも女の子に優しくすると大変な事になっちゃう。だからダメ!!」


「う~~ん・・・」


天使のいう事も理解は出来る

この世界では男は稀少だ

稀少であるが故に男は世界から優遇され、国から優遇され、そして女性からも優遇されているであろうことは想像に難くない

そして男側も優遇されて当然であるかの様に受け取り、傲慢になりがちなのだろうという事も想像に難くない


そんな優遇されている男である俺が周りに優しくすればどうなるか?

答えは容易に想像できるだろう・・・モテモテである


加えて今世の俺は非常に容姿に恵まれている

現段階では3歳という事もあり、確定的ではないが少なくとも前世の俺よりは確実に容姿に優れている


客観視しても美女、美幼女である母さんや姉さんの容姿を見る限り、俺も決して悪くはない容姿のまま育つであろう事は間違いない


詰まりは、イケメンで優しい稀少な男というだけでこの世界では天元突破レベルでモテない可能性が無いのだ

姉さんは其処を気にして嫉妬しているのだろうという事は理解出来る


理解は出来るのだが・・・納得するかはまた別の話だ

俺の情報源は現在はテレビだけという事もあり、非常に偏った知識とはなるのだが・・・この世界では男は複数の女性と婚姻を行わなければならない


その数、男1に対して最大15!!!

干支や誕生月の星座よりも多い・・・


ニュースを見る限りでは必ずしも15人の女性と婚姻を結ばなければならない訳ではないらしいが、少なくとも5名の女性とは婚姻しなければならないらしい

(男の婚姻数減少傾向が如実だというニュースだったので此処は間違いないだろう)


詰まりは将来的には複数名と婚姻を結ばされる俺からすれば、今のうちに好きな子や信頼できる子、気が合う子を作っておきたいのだ

その子たちと必ずしも結婚する訳では無いだろうが、気心のしれた異性の女性は今のうちに多少は確保しておきたい


だからこそ天使の提案に素直に頷くことが出来ずに「で、出来るだけ頑張るよ・・・」と答える事が精一杯だった・・・

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