忘却浦島太郎

kanimaru。

第1話

俺は大馬鹿者だ。天下に名を刻む大馬鹿者だ。

やるなと言われたことをやりたくなってしまう無邪気な子供のように、玉手箱を開けたのが運の尽きだった。

皮肉なことに子供のような感情で動いた結果、散々忌み嫌っていたジジイへと姿を変えてしまった。

ジジイはすぐに物事を忘れるから嫌いだ。同じことを何度も繰り返すから嫌いだ。


それで、ここはどこだ?海岸であることは確かだ。しかし俺がいたころとは、様子が変わりすぎていてよくわからない。そうだ、近くに住んでいた、あの少年に訊いてみよう。


誰だったっけ?海辺に住んでいたあの…太郎ではなく一郎でもなく信三でもなくて…あの子はどこに行った?まだここに住んでいるのだろうか。


まず、それより生きるためにはアレをしなくてはならない。アレだ。アレをするためにはアレをして、アレをしなくてはならない。


それで、ここはどこだ?海岸であることは確かだ。しかしわしがいたころとは、様子が変わりすぎていてよくわからない。そうだ、近くに住んでいた、あの少年に訊いてみよう。


誰だったっけ?海辺に住んでいたあの…大吾ではなく健太でもなく信三でもなくて…あの子はどこに行った?まだここに住んでいるのだろうか。


それより、アレが先だ、アレが。えーっと、何だっけ?わしがいつもしていたアレ。


それで、ここはどこだ?あそこであることは確かだ。しかしわしがいたころとは、様子が変わりすぎていてよくわからない。そうだ、近くに住んでいた、あの少年に訊いてみよう。


誰だったっけ?あそこに住んでいたあの…道治ではなく伝助でもなく信三でもなくて…あの子はどこに行った?まだあそこに住んでいるのだろうか。


それより、わしは……あれ、わしは何をしていたんだっけ?

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忘却浦島太郎 kanimaru。 @arumaterus

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