第27話 アランの選んだドレス
ドレスが届いて数日後、ウォード家と王都のちょうど中間に位置する屋敷内で私たちの婚約発表パーティーが開かれた。
ウォード家よりも大きな屋敷は周辺を森に囲まれており移動は馬車で、パーティー後は希望すれば宿泊が出来るようになっている。
パーティーにはウォード家の使用人たちの他にも使用人たちが雇われており、警備として騎士団が配置されていた。
騎士団は全員
王都で起こった魔石獣の幼体が放った魔獣のことを考えれば一部だけでも魔石獣の幼体と戦えるアンスロポスの騎士たちも加えるべきではあるのだけれど、それに関しては別の貴族から強く反対されたため叶わなかったようだ。
私はと言うと、この日のためにマナー講習を受け、ダンスの練習をし、参加者名を覚えた。
写真とプロフィールだけ眺めたって覚えられる自信がなかった私にアリスが魔力の流れで覚えるのはどうかと提案してきてからはすんなりと頭に入った。
今はエリナーを筆頭に私たちのドレスを着つけているところだ。
正直ドレスではなく制服の方が動きやすくて楽なのだけれど、ドレスはアランが用意したとアリスが言っていたし無下には出来ない。
パニエを履いて紺色をベースにしたオフショルダーのドレスを身につける。
胸元には蝶のようなリボンがついていて、首には魔石付きのチョーカー、ハーフアップにした髪には紺色のリボン、黒の手袋を着けてようやく終わった。
用心のためだとエリナーを説き伏せて太ももに魔石で作った銃弾を数種類と特製の銃を忍ばせてある。
パーティー会場に魔石獣の幼体出現する確率は限りなく低いけれど、万が一のためだ。
決して出現したらいいな、と期待してではない。
アリスは白を基調としたビスチェのドレス、サリーはワインレッドを基調としたオフショルダーのドレスを着ていて二人とも綺麗だ。
「カレナ、どう? まあ! お兄様と選んだ甲斐があったわ。とってもよく似合っているわ。サリーも元から美人だけれど、さらに美人に拍車がかかったみたい。ふふっ、これではモテてしまうわ」
一番ドレスを着こなしている美少女が何を言うんだ。ホワイトブロンドの髪に愛らしいリボンのついたドレスは彼女によく似合う。
「ちょっと待って。アラン様も選んだの? このドレス」
「ええ。サリーのドレスは私が選んだのよ。エリオットに意見を求めたのだけれど、彼ったら顔を真っ赤にして選べません、なんて言うのよ」
笑顔で肯定するアリスにエリナーが耳打ちする。アリスが時計に視線を送るのにつられて私たちも時計を見ればそろそろパーティーが始まる時間だ。
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