ピクチャー#トライアル

水鐘・哲華

第1話 イトの無い時代

時代は日本が敗戦した30年後。

これは、人の声を響す糸を張るお話。

または、もうすっかり使われる事が少なくなったが家庭に普及させる一人の人間の物語。


『ウィン…!』と、大通りを走る車が聞こえる。


何台も大通りを走る道、クラクションの音が町中に響く…響く

最先端文明の塊、の首都に今いる。


『僕は働いていきたいと東京を彷徨っている。名前は、

 多塚 方間 (たずか かたま)…ただのもうすぐ三十路の男だ。』


僕は、戦争が始まる五年前に東京で生まれた。

小さい頃に大空襲に遭い、同時に両親は死んだ。

けど今は首都、東京の山谷で屯っている。

今の東京は、昔と比べてものすごく成長してきている。

それもその筈近々、平和の象徴である『オリンピック』が日本で開催される。


今の日本は、もはや戦後ではないと思った。

テレビ、洗濯機、冷蔵などなどの便利な物が電気屋に置かれている

それを買いにくる人も多い、おそらくこの様に多く買う事によって

それぞれ家庭に普及するのだろう。


『ヒュー…!』と強風が来た。


それと同時に巻き込まれ物が顔に飛んできた。


『バシ!!!!』と顔にそれがぶつかった。


『………う、うん?……な…なんだこれは?』


目の前が真っ暗中、顔についている物を手にとってみた...


神木の写真家募集中!!先着4名です!!写真技術の才能があれば

さらにボーナスを上げます!!!と書かれたチラシだった。


『なんだ、ただのチラシか.............って!!これ行くかしないぞ!!

 僕にも仕事が来たんだこんなダラシない俺でも!!』仕事が!!』




まだこの時僕は、まだ知らなかった。


たった一枚のチラシから始まる、僕の神木写真家人生が。


この物語は、僕が写真家になった時の話だ。



























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ピクチャー#トライアル 水鐘・哲華 @tatsnootosig0

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