いつだって空を見上げて、明日の自分探してた

今まで考えるばかりだった主人公は、見違えるよう変わって、明日に向かって跳びだしていく。そんな希望をみつけたように感じられた。

書き出しが印象的。
これまでとは全く違う環境で生活していくことを意味している。
引き取られた本人は、とりあえず厄介になる感覚だったのだろう。

少女とスリーは、主人公の両親を象徴していると推測する。
別れてそれぞれ片親になったことを、片足の不自由さで表現していると考える。

主人公は母をいつも見ていたけど、母は見てくれなかったのではと思えてくる。
父親が蛙なのは面影がないため、もはや人ですらないのだろう。
いつかは帰ってくる、という思いがあるから、蛙なのかもしれない。

実際のところ、母親は主人公のことを愛していたのだろうか。

叔父が引き取ることにならなければ、悪態つかれながらも愛のムチだと思って母親と一緒に暮らせていたかもしれない。
そのほうが幸せだったのかも。

主人公は二発目を覚悟している。
つまり、母との関係は良いものではなかったと理解しているのだ。
主人公としては、叔父に甘えているのではないだろうか。
叩いてでもいいから、互いに気持ちをぶちまけあえたら、荷物のように叔父に預かってもらっている関係ではなく、もうすこし親密になれたかもしれない。

女がタバコを吸う時の表現が良い。
主人公の目には女が母親との面影とダブって見えたのでは、と思えてくる。
母親もよくタバコを吸っていた。
逃げた夫の嫌なことを忘れるために吸っていたのかもしれない。

T字路に出て、もう少しで追いつけたのに足を止めたのはT字路だったから。
いままでは角を曲がりながらも、一本道だったに違いない。
それがT字路に出て、別の道が現れた。
他の選択肢もあるのではないかと思えて立ち止まり、逆の道を進んでいくと、スリーを彷彿させる蛙のミイラを見つけ、過去との決別の道をようやく選択できた。
だから長年の葛藤に終止符が打てたのだろう。