第3話

東山 水視点 

 

 高校の私は、クラスで一番おとなしいと言われていた。まぁ内心は自分でも思うドクズだけど。


 おとなしい振りをして、「かわいそう」「辞めてあげなよ」とか適当なことを言って、他人の苦しむ顔が見るのが好きだった。


 クラスメイトの悪口を流し合うのも好きで、よくあえて誰かが聞こえる声で、「〇〇ちゃんは〇〇は少し辞めた方がいいよ」と言うのが大好きだ。


 おとなしいキャラの振りをできる程度に私は頭も良い。そして、もちろん他人が点数が低いことを馬鹿にするのが好きだ。自分の頭の良さを利用して、「○○ちゃん点数悪かったけど、私が教えてあげるよ」と言いながら、私は人の低い点数を広めた。


 この学校では、太郎くんのお陰で、彼だけが虐めを苦しむようになっている。私はドロドロな展開も良いが、一人だけ虐められているクラスだからこそ、おとなしい振りをするメリットがある。それは私自身が悪口を言ってもおとなしいキャラを維持出来るからだ。太郎くんが少し傷つく、私はすぐに謝るようにする。そうすれば皆の私の評価も上がる。


 高校二年の時の自然教室の班で太郎くんと一緒になった。まぁ私が楽しむ為に誘ったんだけど。


 そして、太郎くんを一人置いていく遊びを私達の班はした。

 

 クラスでは太郎くんは身勝手行動でクラスに迷惑をかけたと思われている。

 だが私の提案で、私達の班は太郎くんに謝ることにした。

 

 いやー、本当に最高だった。


 太郎くんは謝られるから怒れない。クラスでは、私に【身勝手な行動をしたのは太郎なのに、責任を感じて太郎を一人にしてこと謝った優しい優しい奴】と言う印象が付いた。一石二鳥だった。


ーーーーーーーーーーーー

 もう今は二年の2月。太郎くんはとっくに私達のことを嫌っている時期だ。


 太郎くんにさっき言われた言葉は本当にその通りだ。本当に、本当にその通りなんだよ。私がまた太郎くんを嵌めちゃうから。

  

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