第2話 パリピデザート

//SE:キッチンのシンクから水を数秒間出している

//SE:水栓を締めて流れた水を止める

//ボイス位置:正面 

【幼馴染】

「ふぅ~、使うフルーツはこれで全部洗い終えましたぞ。

 しかし、これから作るのがフルーツポンチとは」


【幼馴染】

「たしかにお手軽メニューという理由わかりますぞ。

 ただ、これを練習と称すには、いささか簡単に――」 


【幼馴染】

「――ふぐっ!? 言葉のばくれつパンチが強すぎ!

 包丁もまともに握ってないだろはごもっともですが。

 でも、切れないわけでは――」


【幼馴染】

「いや、『じゃあ、さっそくどうぞ』と言われても

 初手はお手本というか、お主が少し切ってくれると。

 いや、なんならもう全部切ってくれたが効率が……」


【幼馴染】

「ひぃぃ、や、やりましゅ! やりましゅから、

 スマホを取り出し、暴君へのラブコールはやめて」


【幼馴染】

「と、とにかく、切ります、切りますから……

 あっ、均等を意識してですな。わ、わかりました」


//SE:包丁を手に取る

//SE:まな板の上に果物を置いて、包丁の刃を入れ始める

//演技:おかなびっくりな感じでぎこちなく切る

【幼馴染】

「……均等に……均等に……」


【幼馴染】

「へ? 猫の手? 猫の手というのは……ああ、それね。

 じゃあ、そのお手手で……しっかり切って」


//SE:指示されたことを聞いて、手を猫の手の形にする

//SE:切る音がだんだんとスムーズになっていく

//演技:切るのに専念する

【幼馴染】

「…………」


//演技:少し切りにくい場所に当たり、苦戦する

【幼馴染】

「……うぐっ!? なんかここなんか切りにくい……。

 え、そういう時は柄を前に掴むと……なるほど」


//SE:教えられた握り方で数回切る

//演技:刃が入りやすくなり、ちょっとうれしそう

【幼馴染】

「お……お~。これはたしかに。

 おっしゃるとおりやりやすいですな……。

 ならここを意識して……」


//演技:スムーズに切れ楽しくなっていく

【幼馴染】

「…………」


//SE:果物を切り終える


【幼馴染】

「やったー、全部切り終えたー♪ 

 いや~、今の拙の包丁さばきなかなかでしたよな?」


【幼馴染】

「これは拙、料理人として第一線で活や――」


//演技:ボケるも追加の果物を置かれ、棒読み気味

【幼馴染】

「――わ~次の果物さんがまな板に出荷ましたな~ー。

 これらを切れば、いーんですね。わっかりやしたー」


//SE:新たな果物を切り始める

//演技:ちょいコツがわかって得意げに切る

【幼馴染】

「………………」


【幼馴染】

「ふふふ、これもなかなか……ぅぇ!? 大きすぎ?」


【幼馴染】

「いや、でも口に入れば同じな気も……あ、はい。

 お母さんへのラブコールやめてください」


//演技:指摘されたことを受け慎重に切る

【幼馴染】

「…………」


【幼馴染】

「あの……これぐらいで……。

 ああ、よかった、この大きさで」


【幼馴染】

「でもこれだけ切れば……、

 そろそろ残りはお主も……」


【幼馴染】

「……ああ、うそうそ、おしゃまな拙なお口が、

 勝手にさえずってしまっただけですよ。

 ちゃーんとやりますよー。切るのたのしー」


//演技:熱心に切る

【幼馴染】

「…………」


//SE:果物を切り終える


【幼馴染】

「ふぃ~終わりましたぞ。

 さてこれを切ったら……おお、盛りつけですか」


【幼馴染】

「ふふん、盛り付けならこちらの領分。

 インテリアのセンスにはそこらの者よりも一家言あり」

 

//演技:「++」は「プラプラ」と読んでください

【幼馴染】

「お主も拙のコレクションをなんどか拝見していますよな。

 拙の保有スキル・配置A++が火吹いた

 数多のゲームに設置したマイルームの数々を!」


【幼馴染】

「ですから、これも完璧にこなしてみせますぞ!

 あ、真ん中は空ける縛りですね、りょーかい!」


//SE:主人公から皿を受け取る

//SE:皿に切った果物を並べる

//演技:鼻歌交じりに楽しそうに並べる

【幼馴染】

「色合い的には、いちごにキウイのコントラストが…………。

 いやいや、ここは……ミカンを添えるのも……」


【幼馴染】

「しかし、なにゆえ真ん中を開けるのです?

 いやそもそもフルーツポンチというのなら、

 こうシロップ的なものが……」


//SE:主人公 サイダーをテーブルの上に出す


【幼馴染】

「おお! これは、サイダー!

 これを流し込んで……へ?」


【幼馴染】

「これを真ん中にドーンと鎮座する? なにゆえ?」


//SE:主人公 チューイングキャンディを置く

//SE:果物の配置を止める

【幼馴染】

「は? キャンディ? え、もしかして

 それをサイダーに入れるの?

 え、けど、そのキャンディーあれですよな」


【幼馴染】

「サイダーに入れると沸騰するやつというか……。

 え? まさか動画共有サイト初期で散々

 見かけた、あの動画を撮影するつもりなんです?」


【幼馴染】

「え? そうじゃなく、そのサイダー泡を

 シロップ代わりにすると……」


【幼馴染】

「ほぇ~世の中にはそんなパリピ的食べ方があるのですか。

 え? それに将来、こういった芸を拙に仕込むことで、

 いざという時に生活力が高いと思われるために」


【幼馴染】

「な、なるほど、拙を思ってのことでしたか。

 そこまで考えてくれるなんて……トゥンク♪」


【幼馴染】

「あ、ちょっ、やめて、これはただの愛嬌♪

 ほら、今すぐに並べさせていただきまーす」


//SE:果物を皿の上に配置を再開

//演技:フルーツを楽しそうに皿の上に配置

【幼馴染】

「………………」


//SE:果物の配置を終える


【幼馴染】

「完成♪ どうです? なかなかに鮮やかでござろう」


【幼馴染】

「そしたら、サイダーをセットするでござる。

 ……あ、なら拙にペットボトル開けさせてー」


//SE:主人公からサイダーを受け取る

//SE:ペットボトルのフタに手を掛け回す

//SE:飲み口からパンっと音がなる


【幼馴染】

「おほぉー! 景気のいい音でござるな。

 しかも、キンキンに冷やしやがって」


【幼馴染】

「そしたら、並べたフルーツの真ん中にセットして。

 ……あ! キャンディーも開封の儀を執り行いたい」


//SE:チューイングキャンディーの包装を開ける


【幼馴染】

「よし開けた! じゃあ、これを……二個? へ? 二個?

 たったの二個? 正気ですか?」


【幼馴染】 

「拙は、そんな思いっきりをよくないお主に育てた覚えはないですぞ。

 ここは思い切って全部乗せを……ああ、ちょっ、冗談だから」


【幼馴染】

「けど三個ぐらいは……危ない? 

 そうですか、そうなんですか……」


【幼馴染】

「じゃあ、三個とーにゅー♪」


//SE:素早くメントス三個を炭酸のペットボトルに入れる

//SE:ペットボトルの中が沸騰しはじめる

【幼馴染】

「おほぉー、シュワシュワえげつねーですぜ」


【幼馴染】

「ちょっ、そんな顔しないでよ。

 たかが一個増えたぐらいで――」


//SE:ペットボトルの中のサイダーがボンっと爆発

【幼馴染】

「きゃあぁぁぁぁぁあ!?」

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