第7話『オーガプレデタウィルス』

私は亜美。

ママは今も尚、世界を震えさせているウィルス『オーガプレデタウィルス』の研究者なの。

そして仕事へと向かったママ。

ママが仕事へと行ってから三日が過ぎた。

いつもならこれくらいでLINEなり連絡の一つくらいくるのだったけどこの日は何故か音信がなかったの。

私の中に妙な不安が沸き起こる。

「ママ!そんな!まさか!?」

私はその不安をつい口に出してしまう。

すると私のスマホに着信が!?

「もしもし??」

私はすかさず出るも電話はママが行ってる病院からだ。

(ママがあのウィルスに感染した??分かってはいてずっと何時どうなるか覚悟をしながら生きてきたけど。)

私は電話の声を涙ながらに聞きながら病院へ行く準備を既にし始めていた。

「あのね!亜美ちゃん!?聞いてる!?」

電話越しの声はママの同僚のお医者さんの声。

「聞いて…ぐすっ……ますっ!!!」

溢れ出る涙とこの気持ちは私には止められずママの元へ向かう事しか考えれない。

「ママ!まってて!!今行くから!!!」

私は家を飛び出し走った!!

病院へは歩いても三十分はかかってしまう。

タクシーを拾うにもこの時間が勿体ない私は走る!!!

息をきらしながら!!

でもママの元へ急ぐ!!

ところ変わり、ここはとある研究所。

「ククッ…おお!いつも綺麗だなぁ…お前は。」

一人の男はその赤い光を放つ石を大事そうに眺めている。

「凄いぞ…この石はあのウィルス『オーガプレデタウィルス』を閉じ込めていた原石だからなぁ…」

男視点。

ワシがこの原石を発見したのは隕石研究をしていた時に偶然この原石を発見してしまったからなのだ。

とある原石発掘場所でこの石を発見した我々だった。

我々は興奮しこの石を発見すぐさま研究所に戻りそしてこの石について研究を始めたのだ。

素晴らしく赤く光り輝くこの石にワシも皆も取り憑かれたようにこの石に執着したのだ。

そして研究を初めてから三日目にその異変が起きたのだ。

突然ワシの目の前で一人の研究員が苦しみ始めたのだ。

我々はその光景に医療班に見せるも研究員の苦しみと激しく痛む様を見て…恐ろしいと感じるしか無かった。

「どうします?室長?」

「医者だ!!ドクターヘリをチャーターし救急へ運ぶのだ!!」

こうして研究員は救急病院へと連れていかれたが…亡くなった。

そういう報告を受けたのだ。

その時は我々もそんなウィルスなどあるとも全く思えず研究にひたすら没頭したのだ。

すると一人。また一人。

我々のチームから同じ病状を発症し倒れていったのだ。

そして医者もこのウィルスと病状の話を世間に公表してしまった。

名前は『オーガプレデタウィルス』。

我々チームもここにきてこのウィルスの恐ろしさに怯えたのだ。

発生源はこの原石からという結果になってしまった。

こんな事が世間にバレてしまってはこの原石の更なる追求は誰がやる!?

だが…ウィルスは恐ろしい空気感染もしてしまう。

もう隠すも許されない事くらい分かっていた。

だが…この石を見ていると。

不思議とワシは満たされたのだ。

それよりもっともっとこの石がワシに必要だと思うようになってしまったのだ。

この石に性欲すら覚えてしまう程の恍惚感にワシは取り憑かれたのだ。

だが…世の中の人々はこのウィルスにより立ち所に死んでしまうが…ワシはどうだ。

同胞達も死んでいく中、ワシは生きている。

どうやら第一発見者であるワシをこの石がさも親かのようにワシだけは生き残らせてくれるかのように。

もしかしたら人類で初めてこの石に触れたワシに抗体というものがあるのやもしれん。

そう考え始めるとワシは笑いが止まらくなったのだ。

『ワシはこの世で選ばれし神なのかもしれん。』

それからワシは石を加工し始める。

そして小さく加工した石を世界中にまける様にドローン数十台を確保しながら石の研究に没頭していく。

ところが…ワシは気まぐれでドローンを飛ばす事を思いついてしまう。

どうしたら世界を我が物とできる??

そうだ。

まずは宣戦布告といこうか。

ワシは石の事を世界に発表。

そして、とある博物館に貸す事にする。

「くく…まずは…アメリカか。」

そして、各地に石を搭載したドローンを飛ばす。

やがて世界中が狂乱の世界へと変化していく。

「あは…あはは…あーーーーっはっはっはっーーー!」

ワシの研究所ではこうして毎日笑い声だけが響いていたのだ。

亜美視点。

「ママ!!!」

バァンと病室のドアを開ける私。

そこには息も絶え絶えのママの苦しそうな姿があった。

「はぁ…はぁ……あ……亜美……来ちゃ…ダメ。」

「ママーーーーーっ!!??」

私はママに抱きつく!!

「亜美……あなたまでうつっちゃう……から。」

「いや!いやぁぁぁーーーーーっ!!」

すると私の手をとりママは呼吸器をゆっくりと外すと話し始めた。

「あみ…貴女にあげたのは貴女へのメッセージだから後でみるのよ。」

「うん…うん…グスッ!!」

「ウィルスの話はしたけど…貴女達はこのウィルスが蔓延しているこの地球で生まれた子…私はその研究をずっとしてきたの。」

「うん。」

「もしかしたら亜美はきっとこの病気に対抗出来る何かを持っていると思うの。」

「わ…わたしが?」

「ええ…そうよ…だけどあまりにも危険だから…私は貴女を世界一愛しているから……病院なんかにも研究なんかにも連れてきたくなかったの…」

「ママ…。」

「世界の人々の為…確かにそうかもしれないけど…私は貴女が世界一大切なの。世界と貴女を私は比べられないわ。」

「ママ!!」

「いい?亜美?これから大人になって貴女が世界の人々を救いたい…そう思ったなら…自分の力を世界中の人々に分けてあげて。」

「ママ!!」

「亜美はこのウィルスにも負けない身体を持って産まれてきたんだからね!私の自慢の大切な娘だ…か……ら。」

ピーーーーーーーーーーーーッ。

その時。

ママの鼓動は止まり。

ママから温かさが消えていったんだ。

「ママーーーーーーーーーーーーーーっ!!」

数年後。

世界のどこかのとある研究所から白骨化した一人の男性が見つかる。

そこにはあの赤く光る石。

数点が見つかる。

だが、それは重要管理され再び世界にいや。

世の中に出る事はなかった。

それは世界中が、調べあげた結果オーガプレデタウィルスはあの石が発生源だった事が分かったのだ。

そしてその研究をする為には、かなりの犠牲も払ったのだと聞く。

今では亜美の様なウィルスの抗体を持つ人々から採取された抗体により薬が開発された。

世界はそれによりウィルスは沈静化。

今ではオーガプレデタウィルスを発症する人間もほとんどいなくなったのだ。

「あ!亜美さん!お疲れ様です!次の患者さんは。」

「ええ、今行くわ!あ!その前にちょっと家に電話してきてもいいかな?」

「あ!いいですよ!可愛い一人娘ですもんね!」

「ええ!ありがとう!」

私はママの後継としてウィルスの研究者になった。

ウィルスが蔓延してる中で生まれた私は特異な身体。あのウィルスの抗体をもつ身体で産まれてきた為、私はウィルスに負けなかったのだ。

だからこれからもウィルスになんか負けないし!

沢山の人を守っていくわ!

そう…彼女はママと最後に約束していたのだった。

最後までお読み下さり本当にありがとうございました!

そして俺の今年の夏の創作祭は完結です!

それでは皆様!

また他作品でお会いいたしましょう。



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世界は感染している。でもその事は誰も知らない、何故なら皆それを伝えられずに消滅してしまうから。 黒羽冥 @kuroha-mei

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