11話「本当の気持ち」

氷雨 side


「んっ…あれ?ここは…」


 目覚めると僕は何故か煉くんの部屋にいた。


「あっ二人とも起きたよ」


「「分かった」」


 翡翠くんが下の階にいる二人声をかけると、二人は揃って言う声が聞こえた。仲良しだな〜


「氷雨くん調子どう?」


「大丈夫だと思う」


「それなら良かった」


 安心したのか翡翠くんは小さく笑みを浮かべた。するとコンコンとノックの音と共に扉が開き、2人が入ってきた。煉くんは僕の姿を見るなり、飛びついてきた。


「氷雨大丈夫か?」


「わっ!大丈夫だから離して。苦しい…」


 ぽんぽんと肩を叩き、苦しいことを伝えると少し力を緩めてくれたが、それでもまだくっついたままだった。


「あの、氷雨くんに聞きたいんだけど…」


 少し言いづらそうに翡翠くんが僕に声をかけた。


「どうしたの?」


「氷雨くん煉くんに謝りたい事があるの?」


「えっ?なんで?」


「さっきごめんなさいって煉くんに対して言っていたから…」


 もしかして…


「無理に言う必要はないよ。ただ気になっただけだから」


「…煉くんと2人きりにさせてくれないかな?」


「分かった。話が終わったらリビングに来てね」


「うん」


 返事をすると翡翠くんと紺くんは出ていき、煉くんと2人きりになった。


「それで話って…」


 不安そうに見てくる煉くんに僕は頭を下げた。


「ごめんなさい。僕煉くんのことが好きなんだ」


 煉くんは驚き目を見開き、僕を見てきた。


「分かってる。こんな気持ち持っちゃいけないんだって。実は紺くんとの話、盗み聞きしていたんだ。ごめん、そうだよね。ずっとみんなと居るには恋愛なんてダメなんだって。本当にごめんなさい…もうこの気持ちは捨てるから。僕を振って、お願いだからッ…」


 溢れそうになる涙を堪え、煉くんの赤い炎の様な瞳を見つめて言った。


「ごめん…」


 うん、それで良い。忘れるためにはこうしないと。


「もう少し考えさせて」


「えっ…」


 なんで…だって煉くんはずっと友達でいたいんでしょ?だから僕を振れば全て解決するでしょ?なんで、なんでッ…


「なんで!僕を振ってよ。なんで期待させる様な事するの!僕を振ればずっと友達、仲間としていられるでしょ」


「ごめん氷雨…」


「なんで謝るの!僕が望んでいるのはそんな事じゃない!」


「分からないんだ…」


「何が分からないの?」


「僕嬉しいんだ…本当はこんな事望んでいるはずじゃないのに、何でなの?」


「え…//」


 どう言う事?両思いだったて事?でも煉くんは望んでいないんでしょ?もう分からないよ。


 これから僕はどうすればいいの…?

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