第13話


 僕がこの世を去ったのは、3年前。

 まだ、僕たちは小学生で、ただ無邪気だった頃。

 初めて家族で行った河川敷で、母親の愛情のこもった弁当を食べながら、ピクニックを楽しんでいた。

 僕たちは食事の途中に抜け出して、二人で駆け回って遊んだ。


 「見て、兄さん! あの飛行機! なにか描いてあるよ!」


 それは、たった一瞬の出来事だった。

 僕たちはただ、空を飛ぶ飛行機に夢中で、そこに描かれたイラストに夢中で、見ていなかった。

 大きな音を立てて走ってくる、トラックに。


 気づいたとき、僕の目の前には泣き崩れる和希がいた。


 この時から僕は家族でたった1人だけ、宙を泳ぐ魚のような姿で、和希と共に過ごした。

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