出会わない〝ハズ〟だった。



「「え、」」




ハモるように合わさった声。




今日は、休日の土曜日。




私の目の前にいるのは、

いつも反対方向に帰るグループにいる男の子。




えっと......なんて名前......だっけ?




私はたまちゃんみたく、男の子と、

話す方じゃないからパッて名前が出てこない。




うぅ、なんだか、申し訳ないな.........




そう思っていると。




「左近晃良ちゃん......だよな?」




私のことを、

フルネームで呼んで確認する男の子。




「.........っ、そ、ぅ、です、」




男の子と1対1で話すなんて、

慣れなくて、声が震えるのが分かる。




そんな私の心を見透かしたように。




「あー、やっぱり!良かった、合ってた。

俺は、同じクラスの右近圭一」




安堵した声を出して、

そのままサラッと自己紹介した男の子。




右近圭一(うこんけいいち)くんと言うらしい。




基本的に、反対方向に歩く私たちは、

出会わない〝ハズ〟だった。




それなのに、出会ったなんて............




〝たぶん〟間違いな気がした。



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