14話 ロールプレイング②

私は、ロールプレイングに関して桜井先生に二つのお願いをした。

一つは決して途中で止めないこと。

もう一つは、私が一拍手をするまでロールプレイングを続けること。

そして、以下は桜井先生と水瀬先輩、二人の行動を書き起こした、台本である。


舞台は美術室。

教壇から見て、放射線状に所狭しと並べられたイーゼルにはそれぞれ部員達の絵が乗せられている。

その中を顧問である桜井が落ち着かない様子でウロウロと歩いている。

やがて、桜井はドアの前に置かれたイーゼルの前でため息を吐いた。

桜井「……コーヒーでも飲むか」

桜井、美術室を出て美術準備室へ行く。

美術室に犯人(水瀬)が入ってくる。

教壇前のイーゼルの前に来ると、カッターナイフを振り降ろして絵を切り裂く。大きく揺れたキャンバスが隣あったイーゼルに衝撃を与え、いくつか倒れてしまい、その後ろに並べられたイーゼルをドミノ倒しのように巻き込んでいった。

犯人は倒れたイーゼルとキャンバスを飛び越えて、美術室を出ていく。


桜井、美術室に戻って来る。

桜井「なっ、木暮の絵が!?」

木暮(水瀬)が美術室に入ってくる。

木暮「……」

木暮、自分の絵を無言で手にして美術室を出る。


〈了〉


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