No08『虫取りするガキをニコニコしながら眺めていたお姉さんたち』 逆塔ボマー

※講評内で作品の内容に触れております。

 致命的なネタバレにはならないように考慮していますが、

 一部・ミステリ的なギミックなどの種を割ることがあります。

 ご了承ください。

◇◇◇

https://kakuyomu.jp/works/16817330661289677022



とうとう来ましたね……メタ・虫ガキ小説が!


本作品は「虫取りするガキをニコニコしながら眺めるお姉さん」というジャンルを題材にしたメタフィクション作品となっています。

メタということで、当然ながら題材元となるジャンルの存在を前提として書かれた作品となっています。


ですが、考えてでもみてください。


そもそも、本自主企画が開始する以前には「虫取りするガキをニコニコしながら眺めるお姉さん」なるジャンルは存在しなかったのです。たぶん。

いや、概念としては人類が「虫取り」を発明し、お姉さんがガキを眺めるようになった頃には在ったのですが、それに名前をつけられたのが現在なわけでして。


畢竟、メタ・虫ガキ小説である本作は、本企画に小説を投稿した執筆者の方々が総体となることで生まれた作品であると言えるでしょう。


ところで、本企画に投稿された虫ガキはジャンルも内容も様々ですが、中でも最も多く投稿されたジャンルは「ホラー」でした。


本作では「なぜ、虫ガキはホラーの傾向が強いのか」という「なぜ?」に、「虫取り」という行為に内在する「下位存在に対する加害性」を振り替えることで「因果応報」――すなわち、他者にした悪事は己の身に返ってくる――という解答を与えているのが見事です。


そして、ここでメタフィクションというジャンルも活きてきます。


そう。

虫をオモチャにする虫ガキを、オモチャにするお姉さんは、また別の誰かにオモチャにされているのかもしれない――という、果てのない多層構造を示唆することで、メタである意義が強調されるわけですね。

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