第3話
マスターの一言でコウはスマホで口裂け女をネットで検索した。
「うわ、そうやったわ……岐阜県〇〇郡が口裂け女の発祥地やった」
「……そんな重要なこと忘れとった。ありがとうございます! マスター! ……いや、お義父様!」
由貴はマスターの手を握る。マスターは困惑しつつもまた話してくれた。
「いや、意外と岐阜が口裂け女の生誕地というのは知られとらんのよ。わたしもテレビ番組で知ったけど諸説あり、全国でいろんな憶測が語られとるが岐阜が一番説的に濃厚らしい」
「……一番厄介なやつや、『諸説あり』」
除霊系動画配信者としては一番悩ましいのは幽霊やお化けたちの由来に関してはいろんな説があり語り継がれたものや途中で創作や記憶違い、伝聞で話が湾曲されている。
どこかがここがこうでと言っても違うところが嫌、こっちが正しいなどというものだから『諸説あり』と言わざるおえない。
「……よし、行くか」
「コウ、大丈夫か?」
「ああ。全部は無理やけども一つ接触したら他の口裂け女もやっつけられるやろ」
「芋づる方式やな」
「ああ」
と重い腰を上げてコウは起き上がった。
「そうこなくっちゃ」
意外と一番ワクワクしているのはカメラマン役の由貴だったりする。
するとまたマスターが言う。
「そいや今、〇〇郡がモデルになってるミステリードラマやってますよね」
「なんやったっけ」
コウも由貴もドラマには疎い。テレビが家にないからだ。
「そこ出身の作家が書いた小説がドラマになったのですよ」
とマスターが作者名と書籍名を言うと由貴は慌てて調べて画面を見せた。
「確かそうやったな、この人ここ出身やな、土地名は他の土地に置き換えてるけども名前はどう見ても〇〇郡に近い。それに小説サイトにも舞台は〇〇郡をモデルにしてるって書いてあるな」
「……まさか?!」
さらに由貴は親指を動かして何かを検索する。
「やっぱり」
「何がやっぱりや」
まだ由貴は画面を見せない。あーしてこーしてと。
こういう検索が得意なのが由貴だ。決して霊能力ではない。
「やっぱりな……」
「だからなんなん」
「除霊依頼の集中してる日を見たらドラマ放映後なんや!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます