猫島の猫もどき

カニカマもどき

猫島の猫もどき

 福岡県の某所に、通称”猫島”とよばれる小さな島があります。

 日本各地にある他の猫島と同じく、まあ猫がうじゃうじゃと住んでおりまして。


 良いですよ、猫島は。

 猫は人々に癒しを与え、観光客を呼び。

 観光客は猫を愛で、島の経済を潤し。

 島民は猫にとれたての魚を分け与え、当番制で世話を行い。

 猫島では、そういった相互関係が築かれているのです。

 猫や、猫好きの人にとっては楽園ですよ。

 ちょっと妙なウワサはありますが。


 いや、ウワサといっても大したものではないのです。

 なんでも猫島では、猫そっくりに擬態した何かが、猫に紛れてそこかしこを闊歩しているとかなんとか。

 で、ほとんどの人はそれを知らずにいるというんですね。


 何故猫に擬態するのかというと、まあ猫に便乗して人間からエサをもらうためという話です。可愛いもんじゃないですか。

 曰く、その"何か"は、他の猫の十倍もの魚を食べるとか。

 目撃証言や写真はあるが、島内の猫の定期健診のときにはいつもどこかへ隠れてしまうとか。

 人語を理解し、人の要望通りのポーズをとったり、おつかいをしたりするとか。

 猫への接し方がよろしくない人を、人知れず消してしまうとか。


 いろいろ言われておりますが、まあ、所詮ウワサですからね。

 そう気にするほどのこともないでしょう。

 良い島であることは確かなので、興味がおありなら、一度訪れてみては?

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