不思議と胸の底がこそばゆくなる。


 子供の頃に買ってもらったペット用ロボットにはある特徴があった。
 それは出会ってからおよそ15年で修正不可の故障を引き起こすというもの。
 それはすなわち、避けられない別れを意味していて……

 この作品は不思議だ。
 語弊を恐れず読んだ第一印象を伝えるなら「非常にムズムズする」話だった。

 ロボットと人間の別れというと、普通別れを告げるのは人間の方を連想する。
 不朽の身体を持つロボットは半永久的に生き、有限の命を持つ人間が先にゆくためだ。
 しかし、この作品ではロボットの方に時限を設定している。ロボットということは、作り手がいるということなのだけれど、生物のペットに似せる為か、教育的な価値を与えたかったのかは分からない。

 ともかく、そんな設定でロボット「たんたん」は主人公たちと一緒にいて思い出を作る。
 別れの時が差し迫る。

 登場人物がそれぞれいるのだが、皆温かい。
 SFなのだが、ホームドラマでもあり、ほんわかしつつも、少しばかり寂しいのだ。

「分かるよ、分かるんだけども……」
 という心の震えを感じて、そう言えば、子供の頃、親戚と別れるの嫌がるタイプだったなと思い返した。