[9] 花丸

 たいへんよくできました。はなまる、にじゅうまる。


 ペインターのことについてんーくんのきもちがたいへんよくかけていたとおもいいます。んーくんがペインターのことをあまりによく知っているので先生はびっくりしました。とくにペインターがいることでみんながなんとなく同じになってゆくというところは、うまく書けていましたよ。


 ところで先生もペインターのことは気になっていて、朝おきるとしんぶんに出ていないか一ばんにさがしてしまいます。んーくんもしんぶんをよんでいるのかな? それとも本をたくさんよんだのでしょうか? 今、大人の社会でなにがおこっているのかを知ることはとてもだじなことです。まだこどもでもんーくんたちは、いつか大人になってそこでくらすようになるからです。


 んーくんが大人になってもまだペインターがとびまわっているとはかぎりません。ただ今とおなじように社会はぐるぐるぐるとうつりかわってゆくことはたしかです。きっとんーくんが大人になったころには、またあたらしいなにかがでてくるのだとおもいます。


 だからたいせつなことは、じぶんじしんでそういったうわさをあつめてきて、じぶんじしんで本当かうそかをかんがえて、じぶんじしんで生きてゆくことです。かんたんにきこえるかもしれませんが、これはすごくむずかしいことなのです。先生もやろうやろうとおもっているのですが、いつもうまくはいきません。どうしてもついついだれかのかんがえや生き方にすがってしまいます。


 ただ先生はいっぽうでそうやってだれかにたよることもわるいこととはおもっていません。んーくんにはともだちがいますね? そのともだちといっしょになかよくくらしていくのはよいことです。


 なんだかわからないことを先生はかいてしまっていますね? ごめんなさい、しょうじきにいってしまうと、先生にもどう生きればいいかなんてよくわからないのです。そして、たぶん、だれにもわからないのだとおもいます。おもうように生きてみてください。んーくんにはもしかしたら、なにかがわかるかもしれません。わからないかもしれません。わからなくてもいいのです。


 んーくんはペインターがそのこたえをしっているとおもいますか? だれにもわからない、のだれにもにペインターがふくまれるとおもいますか? 先生はペインターはなにもかもをしっているか、なにもかもをしらないかのどちらかじゃないかとおもっています。なにもしらなければなにもかたるひつようはありません。なにもかもをしっていればどうなってしまうのか、なにもかもをしっていない先生にはわかりません。


 なにかをしっているとかたりたくなってしまうのです。これはんーくんの作文への先生のちょっとしたひとことのはずでした。けれども、先生はついついとふでがすべっていろいろなことをかいてしまいました。そのことをなにかをしっているとかたりたくなると、じぶんでかくまでわすれていました。かたるというのはきっとそういうことです。わからなくなるのです。


 それにしてもほんとうにながくなってしまいましたね。これもきっとんーくんの作文がとてもよかったせいでしょう。次の作文をたのしみにしています。


 たいへんよくできました。

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