これが仕事?!

そのまま三年生になり、新入生の前で会長が挨拶することになった。


---聖美、明日の原稿これでいいかな?


彼女に初めて甘えられた瞬間だった。感激したい所だったが、原稿に目を通した。

間違えもなく完璧だった。


---大丈夫だよ。直す所なんてないよ!


彼女の背中を押した。彼女は背中を押されたいだけだったかもしれない。

そして、当日


---あんこぉ、顔固いよぉ〜緊張してるの?


と、いたずら混じりで顔をフニフニした。

いつのまにか下の名前とあだ名で呼ぶ仲になっていた。あんこときよみそう呼び合っていた。初めて呼ばれた時は嬉しかったが、いつだったかはハッキリと覚えていない。

そして、挨拶の舞台にあがる直前まで彼女は緊張していた。舞台にあがると、それまでを感じさせず凛々しく立っていた。舞台袖に立っていた聖美がその姿に圧倒されてる自分に気づいたのは、そこからしばらく経った頃である。背中押されたいだけだったのかもと思った。


---生徒会で何かできることないかしら?


杏が突然言い出したのは訳がある。5年後に共学化するというのだ。理由は生徒数の減少。以前は応募も多く、人気の学校だったが大学進学率もスポーツも文化も特色のない学校は中学生には人気がでなかった。

そして、学校説明会が始まり会長の挨拶で幕を開けた。

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