最後の戦い//鬼子母神
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──最後の戦い//鬼子母神
アーサーは
今や精鋭部隊であった彼らはその屍を晒しているのみ。
「土蜘蛛、ネフィリム。オリジンはどこにいる……」
『この先にやけに頑丈な
土蜘蛛がメティスTMC支社の社内ネットワーク内にある構造物に挑む。
『ああ。クソ。こいつは不味い──』
「土蜘蛛……。どうした……」
アーサーが呼びかけるが既に土蜘蛛からの反応はない。
『アルマのお父さん。土蜘蛛さんは死にました。残念ですがオリジンの位置は分かりました。彼が残した結果です。受け取ってください』
「そうか。すまん、土蜘蛛」
友が残した遺産をアーサーがネフィリムから受け取る。
その情報はメティスTMC支社内のある位置を示していた。地下だ。
アーサーはそこに向かう。
既にベータ・セキュリティも、一般職員もおらず、警報だけが鳴り響ている。
階段を降り続け、アーサーは地下へ入った。
「この先にオリジンが」
「お父さん。どうなっても私はお父さんを恨んだりしないよ」
「ありがとう、アルマ。だが、失敗すれば誰より俺自身が俺を許せないんだ」
アーサーはそう言って地下にある閉ざされた隔壁を“毒蛇”で叩き切った。
「やはりここにきたか、アーサー・キサラギ」
だが、その先にいたのはオリジンではない。
これまでアーサーの殺害を命じられていたサイバーサムライ──ローガンだ。
「誰だ、お前は」
「お前を殺せと命じられた男だ。残念だがお前はここで死ぬことになる」
「そうはいくか。お前が死ね」
アーサーとローガンが同時に超電磁抜刀の構えを取る。
「
時間を停止させたアーサーだがローガンはその中で超電磁抜刀し、アーサーの超電磁抜刀に応じた。両者の高周波振動刀“毒蛇”と“牛鬼”が」衝突し、そのままつばぜり合いとなる。
「お前もデーモンを宿しているのか」
「そうだ。お前の娘のデータを流用したものだがな」
「ますますお前を殺さねばならくなった」
素早くローガンの“牛鬼”を弾いて斬撃を叩き込もうとするがローガンは
「アーサー・キサラギ。お前は鬼子母神というものを知っているか……」
「お前は仏教徒か……」
「俺は特定の信仰は持たないが信仰を否定はしない。それだけだ。あらゆる宗教は文化であり文化には価値がある」
「殺し屋が文化を語るとはな」
「殺し屋だからこそ自身の罪を理解するために宗教を学ぶのだ。いかなる法よりも古くから宗教は罪について規定してきた」
アーサーの嘲笑にローガンがそう答える。
「鬼子母神というものは我が子を愛するがあまり他者を喰らった親ことだ。釈迦にその罪を説かれ、そのものは考えを改めた。お前はどうだ。お前もまさに我が子のために大勢を殺してきた。だろう……」
「親とはそういうものだ。親が子を思わずして誰が子を思うというのだ」
「他のものもまた誰かの子であるとは考えないのか」
「そんなもの俺が知ったことか」
ローガンの言葉にアーサーが
「悔いたことで鬼子母神は我が子を取り戻した。だが、お前はどうなるだろうな……」
「お前が死ねばアルマは助かる」
斬撃。再び“毒蛇”と“牛鬼”が衝突し火花を散らす。
「人食って生きた子が幸せだと思うか」
「親の罪は親の罪だ。子が背負う必要ない」
「原罪を背負ったキリストのように、か。そこまでの思い上がりとはな」
「宗教などクソくらえだ、殺し屋!」
素早い斬撃と斬撃が
しかし、不意にローガンの動きが止まった。
「どうした……。降参など受け入れんぞ。お前には死んでもらう」
アーサーは超電磁抜刀の構えでローガンに告げる。
「“R.U.R.”、もういい停止だ」
「了承」
ローガンはデーモンを停止させた。
「このデーモンの及ぼす効果はそのデーモンとの繋がりで決まるそうだ。メティスの科学者はそう言っていた。俺と“R.U.R.”は所詮は他人。親子に勝てるはずもない」
「そうか」
ローガンの言葉にアーサーが近づく。両者とも鼻と口から出血している。
「親が子を思う気持ちがここまで強いとはな」
「それが親子だ」
「俺もそれを知りたかった」
「今思い知っただろう」
アーサーが超電磁抜刀し、ローガンの首を斬り落とした。
その直後にアーサーが口から大量の血を吐く。機械化ボディの人工臓器への負担が貯まり切ったのだ。
「お父さん! もういいよ! お父さんがそこまで苦しむのはもう見たくない!」
「ダメだ。あと少し。あと少しなんだ」
アーサーはローガンが守っていた隔壁の向こうにある扉へと進んだ。
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