追跡者//その男は見ている
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──追跡者//その男は見ている
ローガンはアーサーが去った後の高度研究都市を訪れていた。
「そこのお前! ここは立ち入り禁止だぞ。さあ、帰った、帰った」
そこで自動小銃で武装し、
ローガンが訪れたのは高度研究都市の警察業務を行う大井統合安全保障が運営しているセキュリティ施設だ。この高度研究都市内の監視カメラの映像が集めてある。
「悪いな。用事があるんだ」
「何を──」
次の瞬間、ローガンが超電磁抜刀し、警備のコントラクターたちを斬り倒した。
鮮血が撒き散らされ、そのままローガンは真っ二つに引き裂かれたコントラクターたちを乗り越えてセキュリティ施設へと侵入していった。
扉の電子キーを超高周波振動刀で破壊し、蹴り破って内部に侵入。
『不審人物を検出。無人警備システムが起動します』
そう警告が流れ無人警備システムが作動する。
リモートタレットや口径12.7ミリのガトリングガンを備えた警備ボット、ショックガンを装備した戦闘用アンドロイドなどが現れた。
「一気に片づけるか。“R.U.R.”、やるぞ」
「了承」
再びアルマに似た半透明の少女が現れ、ローガンの姿が消える。
そして、全ての無人警備システムが破壊された。完全に。
「さて、
ローガンはそう言ってセキュリティ施設内を進んでいき、監視カメラの映像が収められているサーバーがある部屋の扉を再び蹴り破った。
そして、サーバーに
「ふん。やはり浅間非線形技術研究所、か」
ローガンは浅間非線形技術研究所に不法侵入し、リー教授を
「ジョン・ドウ。奴がいた。お前の読み通りだ」
『そうか。奴もオリジンを追っているようだ。それも大井に雇われたな』
「そのオリジンとやらは知らんが、問題のリー教授は
『消せ。奴は裏切り者だ。奴の口からオリジンについて大井に情報が漏れるのは好ましくない。そう上は判断している。お前の得意なことをして来い。刀を振り回して殺しまわる。頼むぞ』
「ああ。分かった。すぐにやろう」
場が
アーサーに
軍用の
さらにその護衛に2台の軍用四輪駆動車。
『アドベンチャー・ゼロ・ワンより
『こちら
護送部隊はTMCの街並みを走り、高速道路に入ろうとしていた。
「なっ……。前方に不審人物だ!」
突然、道路に大柄な男が出現。
「
「了解」
大井統合安全保障の護送部隊には障害となる人間の殺害許可が下りており、それに従って不審人物を射殺するために動いた。
電気の弾ける音とともに大口径ライフルが男に直進するが──。
「“R.U.R.”、
銃弾は男貫くことはなく、その男──ローガンはそう言うと現れた半透明の少女とともに車列を襲撃した。
『アドベンチャー・ゼロ・フォー! 敵が──』
前方を走っていた軍用四輪駆動車が爆発炎上している。バッテリーが炎上し、電磁機関銃の弾薬が誘爆しており、暗い通りが明々と炎によって照らされていた。
「クソ! 何かの新型サイバネティクスを使ってやがるぞ! 動きが妙だ!」
「分かった! なら、銃弾と爆薬を叩き──」
「おい、アーチャー!? ふざけるなよ、クソサイバーサムライ──」
軍用四輪駆動車や要人輸送用装甲車を降りて展開した大井統合安全保障のコントラクターの首が飛び、手足が飛び、機械化された内臓がぶちまけられる。
「片付いた、か」
物言わぬ躯だけが転がる通りを眺めてローガンが超高周波振動刀“牛鬼”から滴るナノマシン混じりの血を払った。
彼はゆっくりと要人輸送用装甲車に近づくと扉をその機械化した腕で強引に開く。
「死神とは忘れたころに来るとは言ったものだな。私が企業亡命して5年後に殺し屋が送り込まれるとは思わなかったよ」
「それは残念だったな。だが、謝罪する気はない」
リー教授がため息を吐くのにローガンは無造作に超高周波振動刀“牛鬼”を振るう。リー教授の首がぼとりと兵員室の床に落ち、ごろりとボールのように転がった。
その様子をローガンがジョン・ドウに送信する。
「リー教授は死んだ」
『ご苦労。次はアーサー・キサラギだ』
「了解」
ローガンがジョン・ドウから指示に頷く。
「“R.U.R.”。終わりだ」
「了承」
そして、ローガンはTMCのネオンとホログラムの洪水の中に姿を消した。
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