第5話 知らない教室と分かんない想い

よし!

よし!よし!


今日こそは!中原くんとこに遊びに行くぞ!


別のクラスになったのだ、これくらい積極的でないとダメだ!


じゃないと…



「あれ、ハルちゃんどっかいくのー?」


「え、あーちょっと用事が~」


新しく出来た友達たちが声をかけてくれるがとりあえず今日はダメなのだ。


入学式からもう3日も経ってる。そろそろ行動を起こさないと、どうせあっちからはなにもしてくれないんだから!


そう意気揚々と飛び出し、クラスの前まで来たのはいいが……


「あれって…」


そこから見えたのは中原くんと…この前隣を歩いてた女の子。やっぱりとても綺麗で、頭も良さそうに見えて…今の私なんかとは全然…


って!なに考えてんだ私!

行くって決めたんだ!乗り込むんだ!


そうじゃなきゃ…


「あれ、入んないの?ハルちゃん」


「ひょえ!もー驚かさないでよマッキー」


黒崎真紀ちゃん

私の高校での最初のお友達。

どっちかっていうとギャルって感じなんだけど優しくて勉強も出来て我らが学級委員である。

えっへん!


「いやーごめんごめん。なんかお困りごと?

あ、もしかしてあの男の子に用事が?」

「…あーだけど隣に美人さんがいて狙いにくいと、なるほどねぇ?」


「いや!?そうじゃないよ!?いや、そうじゃないわけじゃないけど…そうじゃなくて!」


「はいはい分かった分かった。……仕方ないここは一肌脱ぎますか」


マッキーは周りをキョロキョロ見回して誰かを探してた。


そしてひとりの男の子に声をかけた。


「あ、いたいたおい梅~」


「ん?あ、どした?真紀」


(誰だろう…知り合いかな?)


梅、と呼ばれた男の子はメガネをかけていてそれでいてとても優しそうな男の子。


「ちょっとさ、あんたのとこのあの男の子呼んできてくんない?」


「別にいいけど…どして?」


「いやこの子がさぁ…どーしても会いたいらしくて」


「え、いやそんなんじゃ…!」


「ほー、あんた名前は?どこ中?てかLINEやって」


「堂々とナンパすんな!」


前言撤回……チャラい人だ………


「いや、ごめんねバカで。コイツは梅原信吾。どうせ本気じゃないから。そもそもコイツは」


「正妻の余裕ってやつか?かわいいとこあるねぇマッキー」


正妻…え!?え、そういう関係!?


「変な言い方すんなアホ!聞いてハル。いや、別に?中学のころから一緒にいて、そのまま?なりゆきでただ付き合ってるだけで?」


うわ!やっぱりそうなんだ!

マッキーが照れてるとこ初めてみた……!

貴重な映像だ…!


(いいなぁ、うらやましい……)


「で、そういう君はどうしてうちの学級委員に用事があるのかな?」


「あ、はい!私…えっと南野春っていいます!その!中原くんと少し話がしたいだけで…」


「ふむふむ、それで乗り込もうとしてみたら東城さんの圧が凄くてと」


「いや!?そこまでは言ってないよ!?」


「よし任せな。一肌脱いできてやりますよ!」


行っちゃった…

というかあの子東城さんっていうんだ。


ふーーーん……


ってうわ…大きい声で話しかけてる…

ホントに大丈夫かな…


あれ、中原くん…東城さんと何か話してる


なに話してるんだろう?


すごく気になる。


東城さんの目はすごい冷たく見えるけど、どこかなんだかフワフワしてるような気がして…


「えっと、どしたんだハル?いきなり来て」


「え、あっ!その、久しぶり…えっとあの…そうだ!部活!仮入部する部活とかもう決めた?良ければ一緒にサッカー部見に行かない?」


(あ……)


「サッカーか…そうだな、今日にでも見に行ってみるか」


「え、あ、いいの!?やった…!じゃあ今日の放課後ね!えっと、じゃあまたここに集合って、ことで!じゃあ!」


「良かったね…って、え、ちょっハル!?

足はや!?ぶつかるよ気をつけなー!」



あー恥ずかし恥ずかし言っちゃったやっちゃった!


とっさにサッカー部なんて言っちゃったけど

…もう中原くん気にしてないのかな?



でもとりあえずこれで放課後デート?の予定は取り付けた!


始まってきたよ!私の高校ライフ!

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