第3話 貫く信念、揺れる想い。

「勉学はもちろん部活動にも力をいれておりまして、運動部と文化部なら両立も可能です。かくいう私も実はサッカー部の副キャプテンでもあります。まぁ、勉学の方はほどほどなんですがね。…えっと、とにかく!皆さんも是非部活に入ってもらい、忙しい日々を送ることで素晴らしい高校生活を過ごして欲しいと思います」



あれが生徒会長。


あの場所が私の目指すべき場所。







「今日から君たちの担任になる須藤茜だ。ちなみに担当は数学。一年間、よろしく頼むよ」


適当そうな人。


それでも口うるさく干渉してこなさそうだからある意味やりやすいのかも。


「今日のうちに学級委員でも決めておこう」

「誰か立候補してくれるか?」


誰も動こうとしない。


当たり前だ。


だからこそ、


「はい」


私がいる意味がある。



「皆さんはじめまして。東城 夏美です。皆さんの模範となれるように精一杯努力したいと思います。どうかよろしくお願いします。」


みんなの目が冷たい。

いや、本当はそうじゃないのかもしれない。

でもどうしてもそんな気がしてしまう。


自分を貫こうと決めたばかりなのに。

折れそうになってしまう。

私はなんて弱いんだろう。



…そしてここからが問題だ。


「よし次は男の方だな。こっちも誰かいるか?」



シーーーーン……



何度味わってもこの時間は辛い。1人になったみたいで悲しくて、恥ずかしくて、消えたくなってしまう。



いるわけない。

こんな物好き私意外にいるわけ



「じゃぁ、はい」



(いるん、…だ)



「えっと、こんちは。中原 士郎です。

えー、皆さんを引っ張って行けるように頑張っていきたいと思います。お願いします」




「んじゃ二人は早速だけど仕事を頼みたいんだけどさ、とりあえず職員室までついてきてよ。大事なプリント忘れちゃってさぁ」



「…まさかそれが目的で学級委員決めたとかいわないっすよね?」


「ハハッ、まっさかー」


先生の後に続いて二人で歩く。


他のクラスはまだ自己紹介をしてて、通りすぎた時にはとても元気でかわいらしい女の子が話していた。


その子の声を聞いた中原くんはとても恥ずかしそうで、でもどことなく嬉しそうで、



……なんだかモヤっとした。



初めて会った人なのに、


なんだか勘違いしちゃってた自分に恥ずかしくなって、



「ありがとうございます」


「え、急にどしたの?」


「立候補してくれて、とても感謝しています」



夢を見ていたのだと、


揺れる想いを抑えるように、


「これから様々な仕事や、イベントもあるでしょうが学級委員として、お互いに精進しましょう。」




信念を貫こうと心に決めたのだった。

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