140字小説(2023年8月〜)

雪菜冷

露の精

滲むような橙に染められて夕顔が咲き乱れる。


この花畑には露の精が住むと聞く。


朝と晩に涙を流して花を濡らすのだ。


空に浮かんではらはらと。


シャッターをきれば舞い散る雫だけが映る。


まるで花畑を包むシャボン玉のよう。


彼女の透けるような肌と一日の残り火に輝く煌めきを求め今日も僕は野に佇む。

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