進軍せよ、我らはデストロイヤー軍!!
ポヨン
第1話
眼前にはワープゲートを利用して続々と宇宙船が集結している。
その数、凡そ二十隻。
外観から強襲用戦闘艇だと判断できるため、一隻当たり数百名の戦闘要員が乗艦していることだろう。
現時点で総勢三千は超える戦力を敵軍は擁しているということだ。それどころか、時間が経てば経つほどに敵の数は増えていく。
対する我が軍の戦力は星間航行用小型船一隻。乗組員は僅か四名。
その内の一名が訳あって船を離れているため、現在の乗員は三名となる。
傍から見ればその戦力差は絶望的どころか、一周回って笑えてしまうほどだろう。
「なぁ、本当に戦うのか? そもそも何故あれだけの数の船がこの宙域に集まって来るんだ……」
後ろに振り返って尋ねると、艦長席にふんぞり返っている我が軍の総帥が意気揚々と立ち上がった。
「当然のことよ。我らデストロイヤー軍の前に現れた、それが奴らの運の尽き。クククッ」
しばしの沈黙の後、俺は悦に浸っている総帥を問い質す。
「それで、今度は何をしでかしたんだ? 事と次第によってはお仕置きをしないといけないが」
「ぬわっ!? ち、違うのじゃ、わらわは悪くないのじゃ!」
先ほどまでの雰囲気とは打って変わって動揺した様子を見せているが、これが本来のこいつの姿。
ミリリアード・レウィス。通称ミリア。
アルフリード・レウィスこと俺の妹であり、俺たちデストロイヤー軍の総帥を自称している。
俺たちは双子なので共に百七十七歳。
宇宙では種族によって外見や寿命の長さは様々だ。しかしミリアは俺たちの種族の中でも特殊な生い立ちと言える。
二卵性なため俺たちが似ていないのは当然なのだが、ミリアは子供の頃から身体的成長が遅れていて二百歳で成人とされるにも関わらず未だ幼い外見をしている。
炎のような真紅の長髪を頭の両サイドで纏める愛らしさのある顔立ちのミリアは、その姿を見た大多数が可愛らしいという感情を抱くだろう。
それだけなら俺的にも可愛らしい妹というだけなので何の問題もない。だが、残念なことにミリアは超が付くほどの阿呆なのだ。
加えて我が儘な性格も相まってしまい、何かしらの面倒事を持ち込んでは毎度の事俺たちを困らせている。
今回の件に至っても確実にこいつが厄介事を招き込んだのは言うまでもなかった。
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