藍の願い、挫折の赤い痛み。混ざる季節はまるで自由

魅せるとはこうだと、まさに読者に魅せつけるような作品。
服従と他人の反応だけで生きれば主体性を失った収監囚人と同じとなり、逃げるのが辛いのは自分自身をないがしろにしているからだと気づかせてくれる。

彼女が完成させた絵は、夏空に秋の紅葉を描いたもの。
さぞかし独創的なものとなっただろう。
実際にはない景色だけれども、絵は本来、描かれたものから物語が発生していくものを指す。
見る者に、いろいろな想像をさせるような出来に仕上がったのは間違いない。

サブタイトルの『脱却』がいい味を出している。