第3話 入設者達

入設者達は工作活動に必要なありとあらゆる

知識を叩き込まれる。


爆弾の作り方、設置の仕方、有効な使われ方

建造物の構造把握、毒の扱い、潜入潜伏の仕方

銃器の扱いなど、基本的なことを教わりながら

適正があると認められた者達がさらに

上位の技術を学ぶこととなる。


人を殺す技術は教えられても、自分の身を守る

技術は教えられない。


情報を持ち帰れる能力を認められる、若しくは

継続的にその能力が必要と判断されるまでは

そういった事は教え与えてもらえないのである。


入設者の中には少なからず女もいたが

割合は1/10にも満たなかった。




11567は全ての水準で能力が高かった。

体力は無いが、気力が異常にあるためか

バテたり力尽きるということがなかった。


気力はあるようだが生命力を感じさせないため

何時までも力尽きないゾンビのようで

皆、11567を気持ち悪く思っていた。


11567は誰とも接触しようとしなかった。

誰にも興味がなく何を考えているのか分からなかった。


入設者達は皆ライバル同士である。互いに

蹴落としたい反面、蹴落されるのを防ぐため

徒党を組む必要もあった。


施設では喧嘩や私闘を禁じられていたため、

相手を痛めつけるには教官や管理者に

バレないようにやる必要がある。


規則違反者には厳しい罰があり、最悪は退所も

あるため、多くの者はどんなに嫌いで腹が立っても

喧嘩を避けるのであった。


時には喧嘩をけしかけ、相手に責任をなすりつける

ような卑怯な手を使う者もいたが、

施設の責任者である施設研究員や監督官の目は

欺けないのであった。



ある時ーーーそれは11567が12歳前後のことだった。

11567は同施設の者に


「教官が呼んでいるから」と、



施設内の誰も近寄らない一角に呼び出された。

そこで11567は2時間も3時間も一人で立っていた。


夕暮れが近付き夕飯の準備作業に現れない

11567を気にする者が一人だけいた。


彼は番号11691、名前をルシュターといった。


ルシュターは周りに11567がなぜいないのか

尋ねてまわったが、誰も知らないと答えた。


彼女が規則を守らないなんてありえない

何かあったのだろうかと思い施設の中を

探し回った。


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