産声

膨大な言葉の色

うらさびしい感情の膨大さ、

いつも溢れて

君が僕の髪を洗う

シャワーの水が

床と僕の間で跳ね返って

僕は不思議息ができない

うらぶれの うらのいろ、

こぼれこぼれて 言葉はあふれ 落ちて

口を泊拍と動かして

どこにもこれはいけぬと悟る

形にならぬ、形にならぬ、形にならぬ

脳であてはめては 嘘となる

君はニコニコと言葉を使う

声がでない

うらぶれてうらぶれて、うらぶれ

こぼれた先は白骨の下の土

あふれた先はこの肋骨の間

膨大なことば

膨大な感情の奔流

息ができない

何一つあてはまらなくて


※※※※


けれどわれわれは握手することはできない。


※※※※


言葉によって自分の感情を扱うことに慣れるうち、言葉にならない思いを扱うことがどんどん難しくなっていきます。


私はそれを何とか自分の理解できる形にしようと試みますが、どうにも私の持っている定規は、それをはかるには足りないときがあって、こぼれてしまいます。


私はこぼれたことだけを覚えているのですが、何分言葉にならないので、何がこぼれたかを確認できません。時には、こぼれたことにさえ、気づかないときもあります。


そして、そのこぼれた分が、何か私の中でずっと私を揺さぶっているような、そんな時があります。船酔いをしたように、ぐらぐらと揺れて、何かを思い出せと言われているような気がするのですが、私にはそれを理解する術を持たず、ただその波をやり過ごすしかないのです。

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