残像

あしたには

なきひとのかげ

くりかえし

となえるこえの

まじないさがし


※※※※


すべては

とおきかげのもとの

幻想


※※※※


過去と現在が重なるとき、一種の浮遊感に襲われます。


たとえば、夜空のもとで名前を呼ばれるとします。一年後、また夜空のもとで同じ人に同じ調子で名前を呼ばれるとします。そのまた一年後、名前を呼ばれるとして、ふいにぴたりとその三回の声が重なって、一つの声になるのです。


すると、その瞬間に、私が名前を呼ばれたという事実自体はどこにあるのか、わからなくなります。私の意識は現在にも過去にもあり、そうしてもしかすると未来にもある。私は、私であるけれど私ではない誰かがもはや動かして、同じく名前を呼ばれている。


そのような気がして、私は夢の中にいるような、何とも不思議な感覚になるのです。


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